2002年のオリックス・ブルーウェーブ

2002年 オリックス・ブルーウェーブの軌跡

2002年、オリックス・ブルーウェーブは大きな変革期を迎えた。長年チームを率い、黄金時代を築いた仰木彬監督が勇退し、後任として西武ライオンズOBの石毛宏典氏が新監督に就任したのだ。「BASEBALL SENSATION 熱くなろう神戸」をスローガンに掲げ、投手コーチに藤田学氏、打撃コーチに立花義家氏、そして二軍監督兼打撃コーチには石毛監督とプリンスホテル時代の同期である中尾孝義氏を招き、新たなチーム作りが始まった。

シーズン序盤から低迷

しかし、船出は順調ではなかった。4月を借金3で終えた後、チームは泥沼に嵌っていく。5月以降、立て続けに大型連敗を喫し、あっという間にパ・リーグの最下位に転落した。7月には月間勝率5割と光明も見えたものの、終盤にかけて再び失速し、浮上することはできなかった。

低迷を招いた要因

この低迷の背景には、深刻な戦力低下があった。
前年チーム最多勝だった加藤伸一投手がフリーエージェント権を行使して移籍。
さらに、既にメジャーリーグで活躍していたイチロー選手に続き、田口壮選手も海を渡った。
主砲の一人であったジョージ・アリアス選手は阪神タイガースへ移籍。
ジョー・ビティエロ選手も解雇、五十嵐章人選手もトレードでチームを離れるなど、中核選手の大量流出がチームを弱体化させた。

加えて、石毛新監督が掲げた独自の打撃指導方針も機能不全に陥った。確率を重視した指導は、藤井康雄選手や塩崎真選手、葛城育郎選手といった既存の主力打者たちの打撃フォームやタイミングを狂わせ、軒並み打率を大きく低下させた。また、このシーズンから導入された新ストライクゾーンへの対応も難しく、巧打者として知られた大島公一選手も打撃成績を落とした。

新戦力として期待された外国人選手との関係も円滑ではなかった。スコット・シェルドン選手やフェルナンド・セギノール選手といった選手たちが、石毛監督との間で意見の相違などから軋轢を生じさせ、スタメンから外れるケースが見られた。特にセギノール選手は、腰痛による長期離脱も響いたが、ポテンシャルを発揮しきれなかった。

戦力不足と、それを補うべき指導方針の齟齬や外国人選手との不協和音などが複雑に絡み合い、チームは深刻な貧打に陥った。これが決定的な要因となり、オリックスは最終的にパ・リーグ最下位でシーズンを終えることになった。

屈辱の最下位、そして藤井康雄の引退

この最下位は、前身である阪急ブレーブス時代の1963年以来、実に39年ぶりの出来事であり、オリックス・ブルーウェーブとなってからは初の屈辱であった。5位の日本ハムファイターズにも11ゲーム差をつけられるという、石毛監督にとって極めて不本意な監督1年目となった。

個別の成績を見ても、チーム状況が明確に表れている。投手陣はチーム防御率3.58とリーグ2位につける健闘を見せたものの、打撃陣は壊滅的だった。
盗塁数はリーグ2位だったものの、本塁打はわずか102本でリーグ5位。
チーム打率は.235。
* 得点数はパ・リーグで唯一400点台に届かず438点。
これらは全てリーグ最下位という惨慽たる成績だった。

この低迷のシーズンをもって、阪急時代からチーム一筋で活躍し、「ミスターブルーウェーブ」とも称された藤井康雄選手が、惜しまれつつ現役を引退した。

2002年のオリックス・ブルーウェーブは、新体制への期待とは裏腹に、戦力流出、打撃不振、チーム内の不協和音など、様々な要因が重なり、球団史に残る低迷期となったシーズンであった。

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