2002年のテレビ (日本)

2002年のテレビ界：報道の活発化と番組の新旧交代

2002年の日本のテレビシーンは、国内外の様々な出来事を巡る報道が大きな注目を集めた一年となりました。同時に、長年親しまれた番組がその歴史に幕を下ろす一方で、新たな視聴者層を獲得する番組が次々と登場し、テレビ界に新旧交代の波が押し寄せました。

年明けには、人気番組「欽ちゃんの仮装大賞」が香取慎吾を新司会に迎えるなど、早くも動きが見られました。ドラマ分野では、NHK大河ドラマとして「利家とまつ〜加賀百万石物語〜」がスタートし、一年間を通じて視聴者を楽しませました。また、NHKの連続テレビ小説は前半が「さくら」、後半が「まんてん」とバトンが引き継がれました。

この年は、政治や社会情勢に連動した報道が非常に活発でした。1月には田中真紀子外相の更迭、6月には鈴木宗男衆議院議員の逮捕といった出来事に対し、NHKと民放各局がこぞって報道特別番組を編成。特に9月には、小泉純一郎首相（当時）が歴代首相として初めて北朝鮮を訪問し、日本人拉致問題が北朝鮮側によって公式に認められるという歴史的な瞬間が、テレビで生中継されました。10月には拉致被害者5名の帰国も報じられ、ワイドショーを中心に北朝鮮関連の報道が連日続きました。

スポーツイベントもテレビの視聴率を牽引しました。2月にはソルトレーク冬季オリンピック、5月末からは日本と韓国で共同開催されたFIFAワールドカップが開催され、連日熱い戦いがNHKと民放各局によって生中継されました。

一方で、長年多くの視聴者に愛されてきた番組が次々と終了しました。NHK教育テレビの幼児向け番組「あいうえお」が27年、朝日放送の長寿刑事ドラマ「部長刑事シリーズ」が44年、テレビ朝日系の料理番組「料理バンザイ！」が約20年の歴史にそれぞれ幕を下ろしました。特に大きな話題となったのは、TBS系の人気スポーツバラエティ「筋肉番付」の終了や、フジテレビ系で21年間続いた倉本聰脚本の人気ドラマシリーズ「北の国から」が「2002遺言」で完結したことです。また、TBS「東芝日曜劇場」が「太陽の季節」の最終回をもって東芝の一社提供を終え、45年弱続いた番組の歴史に一区切りがつきました。北海道テレビのローカルバラエティ「水曜どうでしょう」もレギュラー放送を終了し、以後は不定期での新作制作へと移行しました。

新たな人気番組も数多く誕生しました。日本テレビ系では、法律バラエティとしてスタートし後にトーク番組の要素を強めていった「行列のできる法律相談所」が放送を開始。NHK教育テレビでは、独特な視点で「考え方」を育む「ピタゴラスイッチ」が始まり、子供から大人まで幅広い層に支持されました。テレビ東京系では、経済ドキュメンタリー「日経スペシャル ガイアの夜明け」がスタートし、経済の最前線を伝え始めました。朝日放送・テレビ朝日系では、住宅リフォームの過程を追うドキュメントバラエティ「大改造!!劇的ビフォーアフター」が人気を博しました。また、テレビ朝日系の刑事ドラマ「相棒」がシリーズ化の端緒となる第1作の放送を開始し、その後国民的な人気シリーズへと発展していきました。

この年は、多くの放送局で報道・情報番組の改編が行われ、主要な帯番組のキャスターが刷新されるなど、各局が情報戦を繰り広げました。

視聴率競争では、日本テレビが年間・年度ともに9年連続で「3冠王」（全日、ゴールデン、プライム帯の平均視聴率トップ）を達成し、その強さを見せつけました。

番組や放送局の節目も多く見られました。「笑っていいとも！」、「タモリ倶楽部」といった長寿番組が放送開始20周年を迎えたほか、中部日本放送制作の「キユーピー3分クッキング」は放送開始40周年を迎えました。放送局では、名古屋テレビ放送や仙台放送が開局40周年、北海道文化放送やテレビ神奈川が開局30周年を迎えるなど、多くの局が記念の年となりました。

2002年は、報道が社会情勢を色濃く映し出し、多くの長寿番組がその役割を終える一方で、後に人気番組となる企画が数多く誕生した、テレビ史における過渡期とも言える一年だったと言えるでしょう。

（参照：『NHK年鑑2002』、『NHK年鑑2003』、『日本民間放送年鑑2002』、『日本民間放送年鑑2003』など）

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