2002 FIFAワールドカップ

2002 FIFAワールドカップ：日韓共同開催の軌跡

2002 FIFAワールドカップは、2002年5月31日から6月30日にかけて、日本と韓国で共同開催された17回目のFIFAワールドカップです。これは、大会史上初の2カ国共同開催であり、アジア地域での初のワールドカップ開催となりました。

大会招致の背景

これまで、ワールドカップは主にヨーロッパと南北アメリカ大陸で開催されてきました。しかし、1986年に当時のFIFA会長、ジョアン・アヴェランジェが「初のアジア・アフリカ大陸での開催」を提案しました。これを受けて、日本サッカー協会（JFA）が招致に名乗りを上げ、1988年から招致活動を開始しました。日本は、W杯を「平和の祭典」として位置づけ、経済力や政治的安定などをアピールしました。また、「バーチャルスタジアム構想」という最新技術を用いた観戦システムも提案しました。

一方、韓国も「アジア初」を目指し、1993年に立候補を表明しました。韓国は、政財界を挙げて招致活動を展開し、「南北朝鮮共同開催案」を提案するなど、日本に対抗しました。最終的に、1995年にメキシコが辞退し、日本と韓国の二国による争いとなりました。

苦渋の共同開催決定

当初、1996年6月1日に開催国が決定される予定でしたが、FIFA会長選挙を巡る内部対立が影響し、事態は複雑化しました。アヴェランジェ会長の会長派と、欧州理事派が対立し、欧州理事たちが日韓共催を強く推進しました。最終的に、アヴェランジェ会長は自ら日韓共催を提案し、1996年5月31日に共同開催が決定しました。これは、FIFA内部の政治的対立の産物であり、日本にとっては苦渋の決断となりました。

大会運営と資金

共同開催決定後も、JAWOC（日本組織委員会）と開催各自治体との間では、運営資金の負担などを巡って緊張関係が続きました。しかし、大会は予想以上の収益を上げ、追加負担分は各自治体に返還されました。

キャンプ地誘致合戦

各自治体によるキャンプ地誘致合戦も、大会を盛り上げる要素の一つとなりました。多くの自治体が名乗りを上げ、強豪国を中心に様々な代表チームが日本各地でキャンプを行いました。キャンプ地では、地元住民との交流やイベントが開催され、国際交流の機会となりました。

大会の概要と結果

2002年ワールドカップは、日本と韓国それぞれ10都市、計20都市で64試合が行われました。開幕戦では、前回優勝国のフランスがセネガルに敗れるという波乱がありました。日本は、グループリーグを1位で通過し、初の決勝トーナメント進出を果たしました。韓国もまた、グループリーグを1位で通過し、アジア勢初の準決勝に進出しました。決勝では、ブラジルがドイツを2-0で破り、5度目の優勝を果たしました。

大会呼称問題

大会の呼称を巡っては、当初アルファベット順で「Japan/Korea」とする案が出ましたが、韓国側の反対により「Korea/Japan」となりました。その後、日本国内では国名部分を省略して「2002 FIFAワールドカップ」と表記されるようになりました。

両国の開催都市選定

日本では、当初単独開催を視野に開催都市候補地を選定していましたが、共催決定により試合数が半減し、各会場の試合数は3-4試合にとどまることになりました。最終的に、10都市が開催都市として選ばれました。

韓国でも日本と同様に開催都市選定作業が進められ、10都市が開催都市となりました。

チケット・空席問題と誤審問題

今大会では、チケットの高額売買や空席問題、そして誤審問題が大きな問題となりました。特に、決勝トーナメントに入って以降、韓国の試合において誤審が相次ぎ、物議を醸しました。これらの問題は、大会の評価を大きく左右する要素となりました。

大会の遺産

2002年ワールドカップは、日本と韓国のサッカー界に大きな影響を与えました。日本代表の躍進やJリーグの発展、そしてスタジアムなどのインフラ整備が進みました。また、両国間の交流や国際交流の促進にも貢献しました。しかし、一方で、ワールドカップを巡る騒動は、日韓関係の悪化を招いたという指摘もあります。

2002年ワールドカップは、成功と課題の両面を持った大会として、記憶されることでしょう。

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