2003年オーストラリアグランプリ

2003年のF1世界選手権は、3月9日、オーストラリアのアルバートパーク・サーキットを舞台に開幕しました。このオーストラリアグランプリは、2003年から導入された新しい予選方式が初めて適用されたレースとして注目を集めました。

この新方式では、金曜と土曜の2日間にわたって予選セッションが行われ、各セッションで1台ずつマシンがコースインして1周のタイムアタックを行うというものでした。金曜日の走行順は前年のドライバーズランキングに基づき、土曜日は金曜日のタイムの遅い順に走行、決勝スタート時の燃料を搭載した状態でアタックが行われました。

土曜日の予選セッションの結果、フェラーリの2台がフロントローを獲得。好調なスタートを切りました。しかし、マクラーレン勢はアタックに苦戦し、クルサードは11位、ライコネンは15位と、予選順位は低めとなりました。興味深いことに、フェラーリとマクラーレンは、前年型の改良版マシン（フェラーリF2002BとマクラーレンMP4-17D）でこのレースに臨みました。

迎えた決勝レース当日、レース開始前には激しい雨が降り、路面はハーフウェットの状態となりました。この状況下で、ライコネンはピットスタートを選択。ドライタイヤに交換するとともに、燃料給油も済ませました。ライコネンのチームメイトであるクルサードも2周目に同様の戦略を取りました。

レース序盤はフェラーリのワンツー体制で始まりましたが、6周目にバリチェロが単独クラッシュ。コース上のマシン撤去のため、セーフティカーが2度も導入される事態となりました。その後、コースが乾き始めると、ミシュランタイヤを装着したマシンが優位に立ち始め、特に早めの戦略変更を行ったマクラーレン勢が順位を大きく上げてきました。

レース中盤以降は、モントーヤ、ライコネン、シューマッハの3名がトップ争いを展開。ライコネンはシューマッハの猛攻をしのぎましたが、ピットイン時の速度違反によりドライブスルーペナルティを受け、順位を落としました。シューマッハもライコネンとの激しいバトル中にコースオフし、バージボードを破損。修理のためピットインを余儀なくされ、4位まで順位を下げました。

優勝争いは、モントーヤが残り12周というところで2コーナーで単独スピンを喫し、2位に後退したことで、クルサードがトップに躍り出ました。クルサードはそのままトップを守り切り、自身初のF1グランプリ優勝を果たしました。2位から4位まではほぼ同時にフィニッシュ。ミシュランタイヤ勢が表彰台を独占するという、1984年のポルトガルGP以来となる出来事が起こりました。また、この結果、フェラーリは53レースぶりとなる表彰台獲得を逃すこととなりました。

この2003年オーストラリアグランプリは、新予選方式、天候、タイヤ戦略、そしてドライバーたちの激しいバトルが絡み合い、最後まで目が離せない展開となりました。多くのドラマが生まれた開幕戦は、シーズンを通してどのような展開になるのかを予感させる、非常に印象的なレースとなりました。

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