2003年ブラジルグランプリ

2003年ブラジルグランプリ：雨とアクシデントのドラマ

2003年F1世界選手権第3戦、ブラジルグランプリは、4月6日、インテルラゴス・サーキットで開催された。このレースは、開始前から降り出した激しい雨によって、スタート時刻の遅延やセーフティカー導入という異例の展開を余儀なくされた。

予選では、金曜日のウェットコンディションでマーク・ウェバーがトップタイムを記録。土曜日のドライコンディションでは、ルーベンス・バリチェロが地元ブラジルGP初となるポールポジションを獲得、1994年のアイルトン・セナ以来の快挙を達成した。

決勝レースは、まさに波乱の連続だった。スタート直後から降り続く豪雨の中、セーフティカー先導でのスタートとなった。セーフティカーがピットインすると、ミシュランタイヤを履いたキミ・ライコネンとデビッド・クルサードがトップ2を形成した。しかし、レースはここで終わらなかった。

19周目には、ラルフ・ファーマンの機械トラブルによるスピンと、オリビエ・パニスとの接触事故が発生。この事故によりセーフティカーが再導入され、ライコネン以外の全車がピットインして給油作業を行った。リスタート後には、モントーヤとピッツォニアが相次いでクラッシュ。さらに、ミハエル・シューマッハもコースアウトし、24戦連続入賞記録が途絶えた。

レース中盤には、3コーナーでフェルスタッペンとバトンがクラッシュ。3度目のセーフティカー導入という事態になった。雨はやんでいたものの、危険な3コーナー区間では、各車がレインタイヤでの走行を続けた。

44周目、クルサードをオーバーテイクしたバリチェロがトップに躍り出たものの、2周後に燃料トラブルでストップ。地元での初優勝は叶わなかった。再びライコネンとクルサードがトップ2を争う展開となったが、この後もドラマは続く。

54周目、ジャンカルロ・フィジケラがライコネンを抜きトップに立った。しかし、直後にウェバーのクラッシュとそれに伴うアロンソのクラッシュ事故が発生。コース上に大量の破片が散乱したため、赤旗が提示され、レースは終了となった。

赤旗終了時の規定により、53周終了時点の順位が正式結果となるはずだったが、フィジケラは56周目に入っていたという情報がFIAから提出され、再審議が行われた。結果、54周終了時の順位が正式結果となり、フィジケラの初優勝、ライコネンの2位が確定した。ジョーダンチームにとっては、F1参戦200戦目での通算4勝目、そして最後の優勝となった。

このレースは、天候、アクシデント、そしてルール解釈という様々な要素が絡み合った、F1史上に残る波乱のレースとして記憶されている。雨とアクシデント、そしてルールによって大きく順位が変動するなど、最後まで目が離せない展開となった。ライコネンが一旦は優勝者として表彰されたものの、後日フィジケラに優勝トロフィーが手渡されるという異例の事態となったのも印象的だった。このレースは、ドライバー、チーム、そしてファンにとって、忘れられない一戦となったことは間違いない。

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