2004年ベルギーグランプリ

2004年ベルギーグランプリ：数々のアクシデントが彩った波乱のレース

2004年8月29日、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで開催されたF1ベルギーグランプリ。フェラーリにとってF1参戦1700戦目の記念すべきレースでしたが、それは同時に、数々のアクシデントとセーフティカー導入によって記憶に残る波乱の展開となったレースでもありました。

予選から波乱の兆候が見え隠れする中、決勝レースはルノーのトゥルーリがトップでスタート。チームメイトのアロンソが続く1-2体制でレースは始まりました。しかし、1コーナーのラ・スルスで早速大クラッシュが発生。ウェバー、佐藤、パンターノ、ブルーニの4台が絡む接触事故により、レースは早々にセーフティカー導入を余儀なくされます。この事故で、多くのマシンがダメージを受け、マッサやバリチェロは緊急ピットインを強いられました。

レースが再開されると、ルノーの1-2体制はしばらく維持されましたが、アロンソはマシントラブルによる2度のスピンでリタイヤ。トゥルーリもペースが急降下し、モントーヤとの接触を喫するなど、トップ争いは混沌を極めます。さらに、クルサードはタイヤバーストによりピットインを余儀なくされ、順位を大きく落としました。

レース中盤には、バトンのタイヤが激しく破損し、ミナルディのバウムガルトナーを巻き込む大クラッシュが発生。2度目のセーフティカー導入に繋がりました。この際、ピッツォニアもスローダウンするなど、レースは完全に荒れ模様となりました。

セーフティカーがピットインすると、ライコネンがトップに立ち、モントーヤ、フェラーリの2台が追いかける展開に。ウィリアムズにとってサンマリノグランプリ以来となる表彰台が見えていたモントーヤでしたが、タイヤパンクによりリタイヤを余儀なくされます。

その後、マクラーレンのクルサードがジャガーのクリエンに追突。クルサードのマシンはウイングを破損し、その破片回収のために3度目のセーフティカーが導入されます。

再スタート後、ライコネン、シューマッハ、バリチェロ、ゾンタの順でレースが再開されましたが、ゾンタは直後にエンジンブローでリタイヤ。ライコネンは、タイヤの温度低下に苦しむシューマッハを振り切り、今シーズン初優勝、通算2勝目を飾りました。

シューマッハは2位でフィニッシュ。これで5年連続7回目のドライバーズチャンピオンを獲得という偉業を達成しました。一方、ザウバーはスタート直後の大クラッシュやレース中のアクシデントを乗り越え、ダブル入賞を果たしました。ジャガーのクリエンは自身初入賞を記録しましたが、パニスにとっては最後の入賞、そしてジャガーにとっても最後の入賞となりました。

このレースの結果、選手権2位につけていたルノー、3位のBAR、4位のウィリアムズが全て無得点に終わった中、マクラーレンは12ポイントを獲得。これにより、これらのチームとのポイント差を詰めることになりました。2004年ベルギーグランプリは、まさにドラマとサスペンスに満ちた、忘れられない一戦としてF1の歴史に刻まれたと言えるでしょう。

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