2007年以降の市町村合併

2007年以降の市町村合併

平成の大合併と呼ばれる大規模な市町村再編が一段落を迎えた後、2007年以降も日本各地で市町村の合併は実施され、また将来に向けた議論が進められています。この記事では、この期間に行われた、または現在検討されている合併の動きについて概観します。

実施済みの合併

2007年に入ってからも、いくつかの地域で市町村合併が実現しました。その形態は、既存の市町村に周辺の町村が加わる「編入合併」と、複数の市町村が一つになり新たな自治体となる「新設合併」に分けられます。新設合併と同時に市制を施行するケースも見られました。

具体的には、2007年には福島県で本宮市が新設されたほか、岡山県や福岡県、埼玉県などで編入合併が行われました。特に福岡県では、山門郡と三池郡にまたがる3町が合併してみやま市が誕生しています。また、鹿児島県では揖宿郡と川辺郡の町村が合併し南九州市が新設されました。

2008年から2010年にかけても合併は継続し、新潟県村上市や愛知県あま市、埼玉県加須市や久喜市、栃木県栃木市、鹿児島県姶良市などが新設合併によって誕生しています。これらの新設合併では、それまでの町村が合併し、市へと移行するケースが目立ちました。一方、既存の主要都市への編入合併も進み、例えば愛知県豊川市、静岡県静岡市、熊本県熊本市などが周辺自治体を取り込む形で区域を拡大しました。特に熊本市は、2008年から2010年にかけて複数回にわたり周辺町村を編入し、広域的な都市圏を形成しています。

2011年以降も合併の動きは続き、愛知県西尾市、島根県松江市や出雲市、埼玉県川口市などで編入合併が実施されています。近年では合併のペースは鈍化していますが、地方分権や行政の効率化、住民サービスの維持・向上といった観点から、必要に応じて検討が行われています。

将来的な合併構想

実施済みの合併に加え、多くの地域で将来的な合併に関する検討や議論が行われています。その状況は様々です。

休止中の法定協議会

かつて合併に向けて設置されたものの、協議が中断し、法令上の廃止手続きが取られていない「休止中の法定協議会」がいくつか存在します。これらは実質的には活動を停止していますが、法的には存続しており、地域によっては将来的に再び合併協議が持ち上がる可能性もゼロではありません。

合併を検討している自治体

現在、研究会や勉強会などを設置し、具体的な合併の可能性を探っている自治体も見られます。複数の市町村が参加する広域的な検討から、隣接する自治体同士での協議まで、その形態は様々です。検討の背景には、行政サービスの共同化、財政基盤の強化、あるいはより大きな行政単位（例：政令指定都市）への移行を目指す動きなどがあります。

特に注目されるのは、埼玉県や千葉県の一部地域で複数の市町村が連携し、政令指定都市への移行を視野に入れた検討を行っている事例です。また、福岡県久留米市と佐賀県鳥栖市のように、県境を越えた「越境合併」も検討の対象となるケースが存在します。

都道府県の市町村合併推進構想

各都道府県は、自主的な市町村合併を推進するための構想（試案）を策定しています。これは法的な拘束力を持つものではなく、あくまで都道府県が考える望ましい地域構造や合併の方向性を示したものです。これらの構想は、より広域的な行政運営を目指すものや、特定の生活圏域や経済圏域に基づく再編案など、多様な視点から提案されています。

例えば、北海道では多数の地域ブロックに分けた広域的な合併案が示されており、関東地方や中部地方でも、複数の市や町、村が連携する様々な規模の構想が存在します。近畿、中国、四国、九州、沖縄地方でも同様に、地域の実情に応じた合併案が提案されています。

これらの構想は必ずしも実現に至るわけではありませんが、将来の市町村のあり方を考える上で重要な指針となり得ます。

まとめ

2007年以降の市町村合併は、平成の大合併の波が落ち着いた後も、一部で着実に実施されてきました。同時に、多くの地域で将来を見据えた合併の検討や、都道府県による推進構想の策定が行われています。これらの動きは、人口減少や高齢化が進む中で、持続可能な地域社会を構築するための模索であり、今後も各自治体の状況に応じた多様な形で議論が進められていくと考えられます。

もう一度検索