2009 ワールド・ベースボール・クラシック 日本代表

2009 ワールド・ベースボール・クラシック 日本代表

2009年、日本中が熱狂したワールド・ベースボール・クラシック（WBC）において、日本代表「侍ジャパン」が前回の優勝に続き、見事連覇を達成しました。原辰徳監督の下、最強チームはいかにして結成され、どのような戦いを繰り広げたのか。その軌跡を詳細に振り返ります。

監督決定までの経緯

2008年、北京オリンピックに世間の注目が集まる中、WBCの監督人選はオリンピック終了後まで決定がずれ込みました。オリンピックでのメダル獲得失敗後、WBC監督人選が報道されるように。星野仙一氏への就任要請報道や、落合博満氏が固辞したという報道もありました。

プロ野球実行委員会での議論を経て、コミッショナーの加藤良三氏を中心に人選が進められることとなり、WBC体制検討会議が招集されました。しかし、前回のWBCで監督を務めた王貞治氏が健康問題を理由に辞退、現役監督の起用に難色を示す球団が複数あったことから、星野氏の就任が有力視されるも、世論の反発を受けました。イチロー選手もNPBの現役監督を候補から外す方針に苦言を呈するなど、選考は難航しました。

最終的に、日本一監督を代表監督とする案が浮上し、巨人の原辰徳氏に監督就任要請が出され、受諾。こうして、原監督率いる侍ジャパンが誕生しました。

『サムライジャパン』誕生秘話

チームの愛称は、原監督が上層部へ相談したことがきっかけで「サムライジャパン」に決定しました。原監督は、監督の苗字に「ジャパン」をつける従来の慣習に疑問を呈し、未来永劫続く野球界の誇りであるチームにふさわしい名前を求めたのです。

しかし、「サムライジャパン」という名称は、ホッケー日本代表が既に商標登録していた「さむらいJAPAN」に酷似しており、日本ホッケー協会から抗議を受ける事態となりました。NPB側は商標上の問題はないとして名称を取り下げませんでしたが、加藤コミッショナーは両代表への応援を呼びかけました。その後、2012年に代表チームの呼称として「侍ジャパン」が正式に使用されることとなりました。

代表選考の舞台裏

代表選考は、辞退者や故障者の発生により、困難を極めました。里崎智也選手、新井貴浩選手、岩瀬仁紀選手、松井秀喜選手など、多くの選手が出場を辞退。特に、中日の選手たちの辞退については、当時の落合監督が、北京オリンピックでの岩瀬選手のバッシングを考慮した選手たちの感情を代弁する場面もありました。

最終的に、投手16人、捕手4人、内野手8人、外野手6人の34名が第一次候補として発表されました。

チーム編成と戦略

原監督は、1〜3番に出塁率が高く足の使える選手、4〜6番は得点力と進塁打などの自己犠牲を兼ねた選手、7〜9番は意外性のある選手を起用するという構想を打ち出しました。これは、上杉謙信の戦術になぞらえて「車懸かりの陣」と呼ばれました。

投手陣は、松坂大輔投手、ダルビッシュ有投手、岩隈久志投手の3本柱を中心に、杉内俊哉投手、渡辺俊介投手らがブルペンを支える体制。しかし、本番では藤川球児投手の調子が上がらず、準決勝からはダルビッシュ投手がクローザーを務めることとなりました。

激闘の記録

宮崎合宿、強化試合を経て、WBC本番に臨んだ侍ジャパンは、1次ラウンドを順調に勝ち進みました。2次ラウンドでは苦戦を強いられたものの、準決勝でアメリカ代表を破り、決勝では宿敵・韓国代表との激闘を制し、見事優勝。世界一の座を掴み取りました。

侍ジャパンの栄光

2009年WBCでの優勝は、日本野球史における大きな出来事として、今もなお語り継がれています。原監督の采配、選手たちの熱いプレー、そしてファンからの熱い声援が一体となり、侍ジャパンは世界一の栄光を掴み取りました。この大会での経験は、その後の日本野球界に大きな影響を与え、多くの選手たちが世界を舞台に活躍する原動力となりました。

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