2010年のアラスカでのC-17機の墜落事故

2010年アラスカ州エルメンドルフ空軍基地C-17墜落事故

2010年7月28日、アラスカ州エルメンドルフ空軍基地において、アメリカ空軍所属のボーイングC-17グローブマスターIII輸送機が墜落するという痛ましい事故が発生しました。この事故で、機体に搭乗していた4名の乗員全員が亡くなりました。本稿では、この事故の経緯、原因、そしてその後の影響について詳細に解説します。

事故の概要

事故機は、シリアルナンバー00-0173、愛称「スピリット・オブ・アリューシャン」と呼ばれていたC-17グローブマスターIIIでした。第3航空団と第176航空団が共同運用していた機体で、エルメンドルフ空軍基地に2007年6月から配備されていました。この事故は、C-17運用開始以来初の死亡事故として記録されています。

事故当日、乗員たちは週末に開催予定だった「アークティック・サンダー航空ショー」に向けた訓練飛行を実施していました。C-17は、その短距離離着陸能力を活かした迫力ある飛行で航空ショーの常連でした。事故は午後6時22分頃（アラスカ夏時間）、離陸後間もなく発生しました。

離陸後、機体は急激な右旋回を試みました。その際、失速警報装置が作動しましたが、パイロットは適切な対応を取ることができず、機体は回復不能な状態に陥り、基地から約2マイルの地点に墜落しました。墜落現場からは、広範囲に渡り機体の破片が散乱しました。

事故原因

2010年12月13日に発表された事故調査報告書によると、事故原因はパイロットの操縦ミスであると結論付けられました。パイロットが低高度で急激な右旋回を試みた結果、機体が失速し、その後の回復操作に失敗したことが墜落につながったのです。失速警報装置が作動していたにも関わらず、適切な対応が取られなかったことが大きな問題として指摘されています。

事故の影響と航空ショー

事故により、墜落現場付近の鉄道は一時的に運行を停止しました。しかし、予定されていた「アークティック・サンダー航空ショー」は、犠牲となった4名の乗員を悼み、予定通り開催されました。この航空ショーは、事故の悲しみを乗り越え、航空への敬意と追悼の意を示す場となりました。

類似事故との比較

一部の航空評論家からは、この事故は1994年にワシントン州フェアチャイルド空軍基地で発生したB-52爆撃機の墜落事故と類似性があると指摘されています。いずれの事故も、大型機の展示飛行において、パイロットが危険な操縦を敢行し、それが事故につながったという共通点があります。これらの事故は、大型機による航空ショーにおける安全管理の重要性を改めて浮き彫りにしました。

まとめ

2010年アラスカ州エルメンドルフ空軍基地C-17墜落事故は、パイロットの操縦ミスが原因で発生した痛ましい事故でした。この事故は、航空ショーにおける安全管理の重要性、そしてパイロットの経験と判断力の必要性を改めて示す、教訓的な事例となっています。事故調査報告書は、今後の航空安全対策に役立てられる貴重な資料と言えるでしょう。

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