2010年ハンガリー議会選挙

2010年ハンガリー総選挙：中道右派フィデスの圧勝と政権交代

2010年4月11日と25日に二回に分けて投票が行われたハンガリー総選挙は、国民議会の議員を選出する重要な選挙でした。この選挙では、2006年から政権を担ってきたハンガリー社会党（以下、社会党）に対する国民の評価が問われました。

選挙の概要

選挙戦前から高い支持率を維持していたフィデス＝ハンガリー市民同盟（以下、フィデス）が、事前の予想通り国民議会で過半数を大きく上回る議席を獲得し、圧勝しました。この結果、ハンガリーの政治は大きな転換期を迎えることになりました。

選挙の基礎データ

選挙権・被選挙権：18歳以上のハンガリー国民
議員任期：4年（一定の条件下で大統領に解散権あり）
定数：386議席（小選挙区：176議席、地域比例代表：152議席、全国比例代表：58議席）
選挙制度：小選挙区比例代表並立制（全国補償議席枠あり）
投票：2票制（候補者と政党に投票）

立候補するためには、小選挙区では有権者750名以上の推薦署名、地域比例代表では当該選挙区内の小選挙区の1/4以上で候補者を擁立、全国比例代表では7つ以上の地域比例代表で政党名簿を擁立する必要があります。

選挙の成立要件としては、小選挙区では第1回投票で有権者の50％以上、第2回投票で25％以上の投票が必要です。地域比例代表では、当該選挙区の有権者の50％以上の投票で成立し、成立しない場合は第2回投票が行われ、25％の投票で成立します。

選挙制度の詳細

小選挙区：2回投票制
第1回投票：絶対多数の得票を得た候補が当選
第2回投票：上位3位または得票率15％以上の候補者で争い、相対多数を得た候補が当選
地域比例代表：拘束名簿式
全国集計で有効投票の5％以上を得た政党のみが議席配分資格を得る（阻止条項）。政党連合の場合は2党で10％以上、3党で15％以上。
議席配分はドント式。
全国比例代表
小選挙区と地域比例代表の死票を合計し、阻止条項を突破した全国名簿にドント式で配分。
阻止条項は地域比例代表と同じ5％以上。

主要政党

全国比例代表に名簿を提出した主要な政党は以下の通りです。

フィデス＝ハンガリー市民同盟（FIDESZ）：中道右派。キリスト教民主人民党（KNDP）と政党連合を結成。
ハンガリー社会党（MSZP）：中道左派。社会民主主義政党。
ヨッビク（Jobbik）：極右政党。
新しい政治の形（LMP）：環境保護とリベラルを掲げる政党。
ハンガリー民主フォーラム（MDF）

選挙結果

第1回投票でフィデスが単独過半数を超える206議席を獲得し、事実上政権交代が確定しました。社会党は28議席に留まり、ヨッビクが26議席を獲得して第3党となりました。「新しい政治の形」も15議席を獲得し、議会進出を果たしました。

第2回投票でもフィデスが54議席を獲得し、社会党は2議席に留まりました。全国比例代表の配分も確定し、フィデスが大幅に議席を増やし、社会党は大きく議席を減らす結果となりました。

結論

2010年のハンガリー総選挙は、フィデス＝ハンガリー市民同盟の圧倒的な勝利により、ハンガリーの政治地図を塗り替えました。この選挙結果は、その後のハンガリー政治に大きな影響を与えることになりました。

参考資料

2010 Orszaggyulsei Valasztasok
中東欧・旧ソ連諸国の選挙データ。北海道大学スラブ研究センター
在ハンガリー日本大使館作成『ハンガリー　政治・経済月報』(PDF) （4月号）

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