2011年の経済

2011年の経済動向

2011年は、世界経済にとって激動の一年でした。年初から原油価格の高騰、新興国の金融引き締め、そして欧州債務危機が深刻化し、世界経済は大きな波乱に見舞われました。また、日本においては東日本大震災が発生し、その経済的な影響は国内にとどまらず、世界経済にも波及しました。

各国・地域の経済動向

欧州

欧州では、ギリシャを筆頭とする債務危機が深刻化し、ユーロ圏全体の信用不安を招きました。各国が金融支援策を講じる一方で、緊縮財政を迫られるなど、難しい舵取りが求められました。

1月：エストニアがユーロを導入し、ユーロ圏は17ヶ国に拡大。
1月：欧州金融安定ファシリティ（EFSF）が債券発行を開始。日本も購入を表明。
2月：S&Pがアイルランドの信用格付けを格下げ。
3月：ムーディーズがギリシャの信用格付けを大幅に引き下げ。
4月：ポルトガルがEUに金融支援を要請。
5月：EUとIMFがポルトガルへの金融支援で合意。
7月：欧州銀行監督機構（EBA）が銀行ストレステストの結果を発表。
7月：ユーロ圏首脳会議でギリシャへの追加支援を決定。
10月：ユーロ圏首脳会議でEFSFの支援能力拡大とギリシャ国債の減免で合意。
11月：欧州中央銀行（ECB）が政策金利を引き下げ。
12月：ECBが3年物長期資金供給オペを実施。

アジア

アジアでは、中国がGDPで日本を抜き世界2位の経済大国となりました。一方で、新興国ではインフレ懸念が高まり、各国が金融引き締めに動きました。日本では、東日本大震災からの復興に向けた動きが本格化しましたが、原発事故の影響も深刻でした。

1月：中国人民銀行が預金準備率を引き上げ。
1月：韓国とタイの中央銀行が政策金利を引き上げ。
2月：中国のGDPが日本を抜き世界2位に。
3月：東北地方太平洋沖地震が発生。日本経済に大きな打撃。
5月：中国人民銀行が預金準備率を引き上げ。
9月：日韓通貨スワップ協定を大幅に拡充。
10月：インドネシアの中央銀行が政策金利を引き下げ。

アメリカ

アメリカでは、S&Pが米国債の格付けを「AAA」から「AA+」に格下げし、世界経済に大きな衝撃を与えました。金融緩和策が継続される一方、景気回復の足取りは重く、雇用情勢も不安定な状況が続きました。

4月：S&Pがアメリカの信用格付け見通しを「弱含み」に引き下げ。
8月：S&Pがアメリカの長期信用格付けを「AA+」に引き下げ。

金融市場の動向

株式市場は、世界的な景気後退への懸念から不安定な動きが続きました。特に、東日本大震災後には大きく下落し、その後も欧州債務問題やアメリカの格下げ問題などが重なり、市場は混乱しました。為替市場では、円高が進行し、一時、戦後最高値を更新しました。

1月：WTI原油先物が一時高騰。
2月：ドル/スイスフランが過去最安値を更新。
3月：東日本大震災の影響で日経平均株価が大幅下落。
3月：協調介入により急激な円高を抑制。
5月：金先物が史上最高値を更新。
8月：ドル/円が戦後最安値を更新。
9月：スイスフランが対ユーロで上限設定。

主な企業動向

企業においては、業界再編や事業統合の動きが活発化しました。また、グローバル化が進む中で、海外展開を加速させる企業も多く見られました。その一方で、東日本大震災の影響で事業活動を縮小せざるを得ない企業もありました。

1月：アサヒ[[ビール]]がキリンビールを抜き首位奪還。
1月：日野自動車が本社工場を移転を発表。
2月：新日本製鐵と住友金属工業が経営統合を発表。
4月：住友信託銀行と中央三井トラスト・ホールディングスが経営統合。
4月：パナソニック電工と三洋電機がパナソニックの完全子会社に。
8月：Googleがモトローラ・モビリティを買収。
10月：オリンパスが社長を解任。

その他

1月：国連食糧農業機関が食料価格指数が過去最高になったと発表。
3月：カルビーが東証一部に上場。
7月：日本の地上波テレビがアナログ放送を終了。
10月：ノーベル経済学賞をトーマス・サージェントとクリストファー・シムズが受賞。

まとめ

2011年は、世界経済が様々な要因によって大きく揺れ動いた一年でした。原油価格の高騰、新興国の金融引き締め、欧州債務危機、そして東日本大震災など、複合的な要因が重なり、市場は混乱しました。しかし、その中で、新たな企業再編や技術革新も進み、世界経済は変化を続けました。

この年の出来事は、今後の世界経済の動向を考える上で、重要な教訓となるでしょう。

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