2012年ソマリア大統領選挙

2012年ソマリア大統領選挙

2012年ソマリア大統領選挙は、2012年8月20日に実施され、長きにわたる内戦状態にあったソマリアにとって、国家再建に向けた重要な転換点となりました。この選挙は、暫定統治を終了したソマリア暫定連邦政府の後継政府の指導者を選出するもので、21年ぶりにソマリア国内で国家指導者が選ばれるという歴史的な出来事として、国内外から大きな注目を集めました。

選挙の背景

ソマリアは、1991年にモハメド・シアド・バーレ大統領が追放されて以来、20年以上にわたる内戦状態に陥り、安定した政権が存在しない状況が続いていました。2000年にソマリア暫定国民政府(TNG)、2004年にはソマリア暫定連邦政府(TFG)が発足し、国際社会からはソマリアを代表する政府として認識されていましたが、その支配地域はソマリア中南部の一部にとどまっていました。

TFGは、2012年8月20日の暫定統治終了というロードマップに基づき、国際社会の支援を受けながら憲法や議会の整備を進めました。2012年8月1日には、ソマリア全国憲法制定会議が暫定憲法を圧倒的多数の賛成で採択し、これに基づいて連邦議会議員が選出されました。選出された議会では議長などが選出され、9月10日に大統領選挙が実施される運びとなりました。

候補者と選挙戦

大統領選挙には、暫定政府のシェイク・シャリフ・シェイク・アフマド元大統領、アブディウェリ・モハメド・アリ首相、学者出身の活動家で平和開発党党首のハッサン・シェイク・モハムドなど、25人が立候補しました。アフマド元大統領は汚職疑惑が指摘されていましたが、有力候補の一人と目されていました。

選挙結果

投票は連邦議会議員（定数275人）によって行われました。第1回目の投票では、アフマド元大統領が64票で1位、モハムドが60票で2位となりましたが、当選に必要な3分の2（184票）を得た候補者はいませんでした。そのため、上位2名による決選投票が行われ、結果はモハムドが190票、アフマドが79票を獲得し、モハムドが大統領に選出されました。選挙後、敗れたアフマドは結果を受け入れ、モハムド新政権に協力する意向を表明しました。

大統領選挙では買収が横行したとも伝えられていますが、そうした状況に嫌気がさした議員の票がモハムドに集まったことも、勝因の一つとして指摘されています。大統領の任期は4年間です。

モハムドは就任式での演説で、「ソマリアはまもなく新しい歴史の時代に入る」と宣言し、支持者に向けて「全国民を祝福する。国民は新しい進路に向かっている」と呼びかけました。

国際社会の反応

国際連合のソマリア担当特使であるオーガスティン・マヒガは、ソマリア国民が平和と繁栄に向けて大きな一歩を踏み出したと評価する談話を発表しました。関係者は、この選挙がソマリアの安定に向けた大きな節目になるとコメントしています。

日本政府も、当時の玄葉光一郎外務大臣が新大統領の選出を歓迎し、ソマリアに対する支援を継続していくとの談話を発表しました。

2012年の大統領選挙は、ソマリアにとって長年の内戦に終止符を打ち、新たな国家建設へと進むための重要な一歩となりました。

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