2012年トルコ空軍F-4戦闘機撃墜事件

2012年トルコ空軍F-4戦闘機撃墜事件

この事件は、2012年6月22日に発生したトルコ空軍のRF-4E戦闘機がシリアによって撃墜されたものです。この撃墜事件は、両国間の緊張が高まっていたシリア内戦の真只中で起こりました。

背景

トルコとシリアの関係は、2011年11月にトルコの巡礼バスへの攻撃があったことで急速に悪化していました。さらに、2012年4月9日にはシリア軍が国境を越えて発砲し、トルコ側で2人が死亡しました。この事態を受け、トルコ政府はシリアに対し厳しい姿勢を取りました。

事件の詳細

撃墜されたRF-4E戦闘機は、トルコ空軍の第173飛行隊に所属しており、マラティヤのエルハチャ空軍基地から出撃しました。この日の任務は、トルコのレーダーシステムのテストを支援することでした。搭乗していたのはGökhan Ertan大尉とHasan Hüseyin Aksoy中尉の2名です。

戦闘機は、その日の午前11時06分、地中海上空を高度21,000フィートで飛行していました。しかし、その後、レーダーのテストを行うために高度を減少させ、11時42分にはシリア領空の境界に達しました。この機体は数分間、シリア領空を侵犯していました。トルコのレーダー基地はRF-4Eに対し進路変更を促す警告を発していましたが、シリア側からは特に警告はありませんでした。11時50分には、操縦士が再度進路に関する支援を求める通信を行っています。

その後、RF-4Eは公海上空でシリアの対空ミサイルによる攻撃を受け、撃墜されました。搭乗員はミサイルの接近を察知したものの、回避はできなかったと考えられています。この事件は湾岸戦争以来、戦闘機が撃墜された初めてのケースでした。

事件後の捜索と反応

トルコとシリアの海軍は撃墜されたRF-4E機体とその搭乗員の捜索を行いました。撃墜から3日後、アメリカの調査船「ノーチラス」が現地に到着し、捜索活動に加わりました。この調査船は海底での捜索を行い、機体の残骸を発見し、引き揚げることに成功しました。最終的に、遺体は2012年7月4日にトルコのダイバーによって発見されました。

一方、シリアは、RF-4Eが領空を侵犯したとして撃墜を正当化しましたが、トルコのリーダーはこれを否定し、国境を越えることがあるのは日常的なことだと主張しました。トルコの政党指導者の中には、RF-4Eがロシアの艦船により撃墜されたという見解を持つ者もいました。

2012年7月3日、シリアのバッシャール・アル＝アサド大統領はこの事件に遺憾の意を示し、トルコとの直接的な衝突は避けるべきであると発言しました。この事件は、シリアとトルコ間の緊張を一層深める結果となりました。

以上が、2012年トルコ空軍F-4戦闘機撃墜事件の概要です。

もう一度検索