2012年北朝鮮による韓国大統領選世論操作

2012年北朝鮮による韓国大統領選世論操作

2012年、北朝鮮が韓国大統領選挙に対して行ったとされる世論操作事件は、サイバー空間を舞台にした心理戦の一環として捉えられています。この事件は、インターネット上での書き込みを通じて世論を特定の方向に誘導しようとする試みであり、その実行主体として北朝鮮のサイバー部隊、特に「204局」と呼ばれる心理戦部隊が疑われています。ただし、正確な実行部局については、いまだ不明確な点も多く残されています。

事件の概要

この事件は、2012年の韓国大統領選挙期間中に行われたとされています。選挙は、4月23日の予備候補登録から12月19日の投票日まで行われました。報道によると、北朝鮮はFacebook、YouTube、微博、Twitter、FlickrといったSNSやウェブサイトに多数のアカウントを作成し、世論操作を展開しました。

例えば、Facebookには約100個、YouTubeには約100個、微博には約80個、Twitterには約15個、Flickrには5個のアカウントが作成されました。さらに、83個のウェブサイトも確認されています。特にTwitterでは、「我が民族どうし」「民族通信」「朝鮮民主主義」という3つのアカウントだけで、5690件もの投稿が行われていました。北朝鮮による選挙介入の書き込み総数は、数千から数万件に上ると推定されています。

具体的な事例として、あるアカウントでは、2012年9月1日から12月18日までの間に、中傷文30件と政権交代や野党候補を支持する書き込み167件が確認されました。これらの活動は、単なる情報発信にとどまらず、世論を特定の方向に誘導する意図が明確に見て取れます。

北朝鮮の関与

この事件は、韓国国会にも報告され、韓国大統領も北朝鮮サイバー部隊による世論操作の存在を認める発言をしています。北朝鮮のサイバー部隊には、「204局」と呼ばれる心理戦部隊が存在し、約100名の人員が他国の世論操作を専門に行っていると報じられています。元韓国国防部北朝鮮分析官の高永喆氏も、2002年の選挙でも同様の介入があり、選挙結果に影響を及ぼした可能性を示唆しています。これらの情報から、204局が2012年の選挙介入にも関与したとする見方が有力です。

担当部署の謎と北朝鮮の否定

しかしながら、担当部署の詳細については不明な点も残されています。例えば、2012年4月11日の韓国総選挙の際には、「北朝鮮・統一戦線部傘下の101連絡所3局がサイバー攻撃機関として活動していた」という報道もあります。このため、2012年の大統領選挙における具体的な担当部署については、複数の可能性が考えられます。

当然のことながら、北朝鮮はこの事件への関与を否定しています。また、公安調査庁の情報によると、「サイバー戦争を日本列島まで広げろ」との指示が出ていたとされていますが、日本国内で類似の事件が起きたかどうかについては、今のところ確認されていません。

結論

2012年の韓国大統領選挙における北朝鮮による世論操作事件は、サイバー空間を利用した政治介入の深刻な実態を示しています。北朝鮮のサイバー部隊が関与した可能性が高いものの、担当部署の詳細や北朝鮮の真意については、未解明の部分も多く残されています。この事件は、国際的なサイバーセキュリティ問題への意識を高め、国家間での情報戦への対策を強化する必要性を示唆しています。

今後、同様の事件が発生しないように、国際社会全体で協力し、サイバー空間の安全を確保していく必要があります。

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