2016年宜野湾市長選挙

2016年宜野湾市長選挙

概要

2016年（平成28年）1月17日に告示され、同月24日に投票が行われた沖縄県宜野湾市の市長を選出する選挙です。この選挙は、2012年の前回選挙で初当選した現職の佐喜眞淳氏の任期満了に伴って実施されました。

宜野湾市は、在日米軍普天間飛行場が所在するという地理的な特性から、この選挙結果が同飛行場の名護市辺野古への移設計画の進展にどのような影響を及ぼすか、全国的に大きな関心を集めました。

立候補者

選挙戦は、現職と新人の一騎打ちとなりました。立候補届け出順は以下の通りです。

現職：佐喜眞淳氏
自由民主党および公明党の推薦を受け、再選を目指しました。選挙運動では、米軍基地の辺野古移設問題への直接的な言及を避け、政府との連携による地域経済の活性化や子育て支援などの政策を重点的に訴えました。

新人：志村恵一郎氏
「オール沖縄」と呼ばれる、普天間飛行場の辺野古移設に反対する勢力の支援を受けました。この勢力には、当時の沖縄県知事である翁長雄志氏をはじめ、民主党沖縄県連、日本共産党、社会民主党、生活の党と山本太郎となかまたち、沖縄社会大衆党などが含まれていました。志村氏は、辺野古への基地移設に明確に反対する立場を表明し、市民生活や基地問題の解決を訴えました。

選挙結果

2016年1月24日の開票の結果、現職の佐喜眞淳氏が当選を果たしました。

当日有権者数：72,526人
最終投票率：68.72%（前回の市長選から4.82ポイント増加）

選挙の争点

当初、最も主要な争点となると予想されていたのは、普天間飛行場の名護市辺野古への移設に対する賛否でした。

しかし、志村氏が辺野古移設反対を強く訴えたのに対し、佐喜眞氏は移設問題に深く踏み込まず、政府からの支援を引き出すことによる地域振興策や経済政策を前面に打ち出しました。このため、辺野古移設の是非が選挙戦全体を通じて明確な争点として確立されるには至りませんでした。沖縄タイムスの社説は、佐喜眞氏が辺野古移設問題を争点化させなかったことが、選挙を有利に進める上で有効だったと分析しています。

その他の出来事

選挙期間中の2016年1月20日、NHK沖縄放送局の番組「おきなわHOTeye」および「ニュース845沖縄」において、新人候補の志村氏とその支援者である翁長雄志沖縄県知事が共に選挙運動を行う様子が報じられました。

この報道内容が、公職選挙法で禁止されている戸別訪問にあたるのではないかとして、沖縄県内の民間選挙監視団体の男性が1月22日、公職選挙法第138条（戸別訪問の禁止）違反の疑いで、志村氏と翁長氏に対する告発状を沖縄県警察に提出しました。

これに対し、志村氏の選挙対策本部長代行を務めていた伊波洋一氏は、街頭での活動中に知り合いの家を訪問することは一般的なことであり、違法行為ではないとの認識を示しました。一方、告発状を受理した沖縄県警は、1月26日時点ではこの件に関する対応方針を明らかにしていない状況でした。

この選挙は、宜野湾市のリーダーを選ぶだけでなく、普天間基地の移設問題を巡る政府と沖縄県の対立構造を反映したものであり、その結果は今後の基地問題の展開にも影響を及ぼすものとして、引き続き注目されました。

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