2017年ケニア国政選挙

2017年ケニア国政選挙

2017年8月8日に行われたケニアの国政選挙、特に大統領選挙を中心に、その背景、過程、結果、そしてその後の政治的変動について解説します。

概要

2017年のケニア大統領選挙は、現職のウフル・ケニヤッタと野党指導者のライラ・オディンガという二人の有力候補による争いでした。しかし、選挙は集計作業の混乱、野党による不正疑惑の主張、そしてそれに伴う抗議行動と暴力によって大きく揺れました。

当初、ケニヤッタの再選が発表されましたが、オディンガ率いる野党は選挙結果を認めず、最高裁判所に提訴。その結果、最高裁はケニア史上初めて大統領選挙の無効を宣言し、再選挙が実施されることになりました。

再選挙は10月26日に行われましたが、オディンガがボイコットしたため、ケニヤッタが再び勝利。しかし、野党は再び選挙結果に異議を唱え、最終的に最高裁がケニヤッタの再選を承認しました。

背景

ケニアの選挙は過去にも暴動や不正疑惑がつきものでした。2007年の選挙では、大規模な暴力が発生し、1000人以上の死者が出る事態となりました。このような過去の経験から、2017年の選挙には国際的な監視団が派遣され、高い関心が寄せられました。

2010年には新憲法が制定され、2013年には新憲法下で初の国政選挙が行われましたが、この選挙でも集計過程での混乱が発生しました。野党は選挙結果に不服を申し立てましたが、最高裁はケニヤッタの当選を承認しました。

選挙システムと事件

ケニアでは、2013年の選挙から「統合電子的選挙システム」が導入されました。これは紙と電子媒体を使用した二重の集計システムでしたが、運用上の問題が多く、混乱を招く要因となりました。

選挙直前には、このシステムを担当する選挙管理委員会の幹部が殺害されるという事件が発生し、選挙の信頼性に対する疑念が高まりました。

大統領候補

2017年の大統領選挙には、現職のケニヤッタと元首相のオディンガの他に、複数の候補者が立候補しました。ケニヤッタはキクユ人、ルトはカレンジン人、オディンガはルオ人というように、候補者の民族構成も選挙結果に影響を与えました。

選挙結果とその後

選挙後、野党は集計の過程に不正があったと主張し、抗議行動が発生しました。特に野党支持の強い地域では、警察との衝突で死傷者が出る事態となりました。

オディンガは最高裁に不服申し立てを行い、その結果、最高裁は選挙の無効を宣言しました。これはアフリカ史上初の出来事であり、国際的にも大きな注目を集めました。

再選挙と最終的な結果

最高裁の命令により再選挙が行われましたが、オディンガがボイコットしたため、ケニヤッタが再選されました。野党は再び選挙結果に異議を唱えましたが、最高裁はこれを棄却し、ケニヤッタの再選が確定しました。

2017年のケニア大統領選挙は、単なる政治的イベント以上の意味を持ちました。それは、ケニアの民主主義の成熟度、司法の独立性、そして民族間の緊張といった、多くの課題を浮き彫りにする出来事だったと言えるでしょう。

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