2017年茨城県知事選挙

2017年茨城県知事選挙

2017年8月27日に投開票が実施された茨城県知事選挙は、現職知事・橋本昌氏（当時6期目）の任期満了に伴って行われました。当時、日本の現職都道府県知事として最多の任期を務めていた橋本氏が、前例のない7期目への挑戦を表明。これに対し、長年の多選を問題視する声が上がり、自由民主党が独自候補を擁立したことから、選挙戦は大きな注目を集めました。この構図は、いわゆる「保守分裂選挙」の様相を呈し、かつ公職選挙法の改正により選挙権年齢が18歳以上に引き下げられてから、茨城県で初めて実施された知事選挙であるという点でも歴史的な意味合いを持ちました。

選挙を巡る動き

選挙に向けた動きは、投開票の約8ヵ月前、2016年12月から表面化しました。この時期、自民党県連は元経済産業省の官僚でマイクロソフトの役員を務めた経験を持つ大井川和彦氏を擁立する方向で調整を進めていることを明らかにしました。大井川氏は翌2017年3月1日に正式な出馬表明を行い、これに対し、現職の橋本氏も4月5日に7期目への挑戦を正式に表明しました。

選挙戦では、各候補が主要団体からの推薦獲得を目指しました。現職の橋本氏には、4月27日に茨城県町村会や茨城県町村議会議長会、茨城県医師連盟、茨城県歯科医師連盟が、5月10日には茨城県市長会が推薦を決定するなど、多くの組織からの支持が集結しました。さらに、大井川氏から推薦依頼を受けていた連合茨城も、最終的に6月15日に橋本氏への推薦を決定しました。一方で、新人候補の大井川氏には、自民党に加え、7月17日に公明党が推薦を出しました。また、動物愛護団体理事長の鶴田真子美氏も立候補を表明し、日本共産党県委員会など6つの政治団体からの推薦を得て選挙戦に臨みました。

特に保守分裂の様相は、自民党員を含む市町村議会議員による橋本氏支援組織の設立や、茨城県市長会が橋本氏の推薦を決定しているにも関わらず、一部の市長（高萩市、古河市、ひたちなか市、笠間市、坂東市）と町長（利根町）の計6首長が大井川氏への支援を表明し、政策協定を結ぶという出来事からも見て取れました。これに対し、茨城県市長会は会としての決定を無視した行動に不快感を表明するなど、波紋が広がりました。

主な争点

この知事選挙における主な争点は、以下の2点に集約されました。

橋本県政6期24年の評価と多選の是非: 24年間に及ぶ現職の実績に対する評価と、長期政権の継続の是非が問われました。
日本原子力発電・東海第二原子力発電所の再稼働の是非: 安全対策工事の状況や避難計画の実効性などが議論される中、再稼働を認めるかどうかが重要な争点となりました。

原発問題に関して、橋本氏は選挙戦において「再稼働は認めない」と明確に反対姿勢を示した一方、大井川氏は「賛成でも反対でもない」という、国の判断や安全性が確認されるまで態度を保留する姿勢を見せました。鶴田氏は原発の廃炉を訴えました。

選挙結果

8月10日の告示日には、現職の橋本昌氏、新人候補の大井川和彦氏、同じく新人候補の鶴田真子美氏の3名が立候補を届け出ました。

8月27日の投開票の結果、自民党・公明党の推薦を受けた元IT企業役員、大井川和彦氏が現職の橋本昌氏を破り、初当選を果たしました。最終的な得票数は大井川氏が495,864票、橋本氏が427,927票となり、その差は約7万票でした。得票率では大井川氏が47.50%、橋本氏が40.85%と、僅差での決着となり、激しい選挙戦であったことがうかがえます。鶴田真子美氏は97,420票を獲得しました。

投票率は43.48%を記録し、前回の2013年選挙と比較して11.74ポイント大幅に上昇しました。これは、現職の多選の是非や保守分裂といった構図が、県民の関心を強く惹きつけたことを示しています。当日有権者数は2,429,326人、投票者数は1,056,280人でした。この選挙は、24年間続いた県政の刷新を選択するという結果に終わりました。

選挙と同日には、茨城県議会議員補欠選挙（常総市選挙区）も実施されました。

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