2019年アジア太平洋ろう者競技大会

2019年アジア太平洋ろう者競技大会の中止について

2019年11月に中華人民共和国の香港特別行政区で開催が計画されていた第9回アジア太平洋ろう者競技大会。大会の日時は2019年11月1日から11日までの予定でした。しかし、開催直前の2019年10月10日に大会が中止されるという決定が下されました。この中止は、香港で発生した一連のデモ活動が背景にあります。

香港民主化デモとその影響

2019年3月31日に始まったデモは、政府が導入を試みた逃亡犯条例の改正案への反発から広がりました。特に4月28日のデモでは、主催者によると約13万人が参加し、警察の発表では22,800人という数字が報告されました。しかし、デモは次第に規模を拡大し、6月9日には主催者発表で103万人、警察発表で24万人、さらに1週間後の6月16日には200万人という驚異的な数字に達しました。これにより、香港の人口のかなりの割合がデモ活動に参加する事態となったのです。

デモや抗議活動の激化が続く中、政府は逃亡犯条例改正案の完全撤廃を発表しましたが、デモの本来の要求に関連する他の要求に対する政府の姿勢は変わらず、市民の間では混乱が続いていました。これらの状況から、デモの長期化が予想され、香港行政区内の治安が不安定になることが懸念されていました。

大会の中止決定

2019年に予定されていたアジア太平洋ろう者競技大会の組織委員会は、デモの影響が深刻化する中で、選手たちの安全と公正な競技環境の保護が難しいと判断しました。大会を主催するアジア太平洋ろう者スポーツ連合（APDSC）と香港の大会組織委員会は、選手や関係者の移動手段の確保が困難な状況に直面し、最終的に大会の中止を発表せざるを得なかったのです。

これにより、多くの選手たちや関係者が待ち望んでいたこの大会は、直前での中止となり、大変残念な結果となりました。また、参加予定だった国や地域も、複雑な心境を抱えながら大会の中止を受け入れることとなりました。

まとめ

2019年のアジア太平洋ろう者競技大会は、様々な国や地域の選手たちが交流し、競技を通じて友情を深める場であるはずでした。しかし、香港の社会情勢の不安定さが影響し、この大会の実施は叶わなくなってしまいました。こうした経緯からも、スポーツイベントは時に政治的環境や社会状況によって影響を受けることがあると言えるでしょう。

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