2019年カナダ総選挙

2019年カナダ連邦議会選挙

2019年カナダ連邦議会選挙は、2019年10月21日にカナダ全土で実施された、議会下院（庶民院）の第43期議員を選出するための総選挙です。この選挙は、当時のジャスティン・トルドー首相が2019年9月11日に連邦議会を解散したことを受けて行われました。

背景と焦点

前回の2015年総選挙でカナダ自由党は約10年ぶりに政権与党に返り咲き、議席を大幅に増やして単独過半数を獲得していました。今回の選挙では、自由党がその勢いを維持できるのか、あるいは野党第一党である保守党をはじめとする他党がどれだけ議席を伸ばせるのかに大きな注目が集まりました。

選挙データ

内閣:
選挙時: 第1次トルドー内閣（首相: ジャスティン・トルドー、与党: カナダ自由党）
選挙後: 第2次トルドー内閣（首相: ジャスティン・トルドー、与党: カナダ自由党）
日程:
議会解散および選挙管理委員会への令状発行: 2019年9月11日
投票日: 2019年10月21日
改選数: 338議席
選挙制度: 小選挙区制
投票方法: 秘密投票、単記記号式投票
特別投票制度（不在者投票など）: 一定の条件を満たす有権者に認められました。これには、国外に継続して5年以上居住しているがカナダに戻る意思を持つ有権者、国内の遠隔地に居住し投票所へのアクセスが困難な者、選挙日当日にカナダ国外に滞在中の者が含まれます。
選挙権・被選挙権: 18歳以上のカナダ国民
有権者数: 27,373,058人

選挙結果の概要

投票の結果、ジャスティン・トルドー首相率いる与党カナダ自由党は157議席を獲得し、引き続き第1党の地位を保ちました。しかし、これは前回の選挙から20議席の減少であり、単独過半数を維持するには至りませんでした。

野党第一党の保守党は、前回から26議席増やして121議席を獲得し、議席数では自由党に次ぐ第2党となりました。総得票率では自由党を上回る健闘を見せました。

新民主党は、前回の選挙で大きく議席を減らした状況からさらに後退し、15議席減の24議席となり、党勢の低迷が続きました。これにより、第4党に順位を下げました。

ケベック州を基盤とする地域政党であるブロック・ケベコワは、前回から3倍以上の32議席を獲得し、第3党に躍進しました。緑の党は1議席増の3議席となりました。

主要政党の動向

自由党は、カナダ全土で議席数を減らすか横ばいにとどまり、前回のような圧倒的な勢いは見られませんでした。特に西部や内陸部で保守党の攻勢を受けました。

保守党は、全国的に議席を増やし、7つの州で議席増を達成しました。特に、ブリティッシュコロンビア州やマニトバ州では、自由党から第1党の座を奪うなど、地域によっては自由党に取って代わる存在感を示しました。

新民主党は、ケベック州で大量の議席（15議席）を失ったことが、全体の議席減に大きく影響しました。また、オンタリオ州など人口の多い主要州でも議席を減らし、広範な地域で支持を失いました。

ブロック・ケベコワは、主にケベック州内で支持を伸ばし、同州の独自性やナショナリズムに訴える戦略が功を奏しました。ケベック州内で22議席増という大幅な躍進を遂げ、州内第2党に浮上しました。

選挙後の政権樹立

自由党が第1党となったことで、ジャスティン・トルドー氏が引き続き首相を務めることが確実となりました。しかし、単独過半数には届かなかったため、自由党が他の政党と協力して政権運営を行う少数与党政権となる見込みとなりました。トルドー首相は、投票日のわずか2日後である10月23日、他の党との連立ではなく、自由党単独で少数与党政権を発足させる意向を表明しました。

これにより、第2次トルドー内閣は、議会において法案を通過させるためには、野党各党、特に保守党、ブロック・ケベコワ、新民主党などとの連携や、政策ごとの協力が必要不可欠となり、前回の多数派政権に比べてより柔軟で交渉に基づいた議会運営が求められることとなりました。

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