2019年江原道山林火災

2019年江原道山林火災

2019年4月4日、大韓民国の江原道各地でほぼ同時に発生した大規模な森林火災は、「2019年江原道山林火災」と呼ばれています。この火災は、複数の出火元から発生し、強い風にあおられたことで急速に燃え広がり、広範囲にわたる甚大な被害をもたらしました。

火災の発生と拡大

火災は同日午後、江原道の複数の場所で相次いで発生しました。

麟蹄郡地区: 午後2時50分頃、江原道北部の麟蹄郡南面藍田里で最初の火の手が上がりました。
高城・束草地区: その後、午後7時17分には、日本海沿いの高城郡土城面元巖里にあるガソリンスタンド付近で、電柱からの放電が原因とみられる火災が発生。この火は強い風に乗って南西方向の束草市方面へ延焼しました。
江陵・東海地区: さらに遅い時間帯、午後11時46分頃には、江原道南東部の江陵市玉渓面南陽2里で、薪を使用するボイラーが火元となり山火事が発生。こちらも南の東海市望祥洞へと燃え広がりました。

これらの火災は、特に高城・束草地区と江陵・東海地区で大規模化し、深刻な被害を引き起こしました。

被害の状況

この一連の火災による焼失面積は、合計で2,871ヘクタールに達しました。内訳としては、

高城・束草地区: 1,266ヘクタール
江陵・東海地区: 1,260ヘクタール
麟蹄地区: 345ヘクタール

特に被害が大きかった高城・束草地区では、犠牲者が2名、10名を超える負傷者が出ました。また、518棟の住宅が全焼するなど、建物への被害も多数報告され、1,072人もの人々が住む場所を失い被災しました。

政府の対応

火災発生を受け、韓国政府は迅速な対応を開始しました。文在寅大統領は、国が保有する全ての利用可能な資源を結集し、総力を挙げて消火活動にあたるよう指示を発しました。そして、翌日の4月5日には、大規模な災害発生時に宣言される「国家災難事態」を発令し、事態の深刻性を国内外に示しました。

消火活動には、全国からの人員と装備が大規模に動員されました。

消防士: 2,589名
消防車両: 820台（済州道を除く全国の広域自治体から集結）
ヘリコプター: 45機
軍関係者: 16,500名
* その他（消防公務員、山林庁鎮火隊員、医療消防士、警察官など）: 約10,000名

総勢3万人近い体制で陸上・空中からの消火活動が進められました。その結果、発生翌日には火災はほぼ鎮圧されました。大半の火は5日夕方までに消し止められましたが、行政当局は翌6日も引き続き警戒にあたりました。

政府対応への評価と支援

文在寅大統領や当時の李洛淵首相らが陣頭指揮を執った、一連の政府の迅速かつ積極的な対応は、被災した人々や広く国民から高く評価されました。この対応を受け、火災発生後の4月9日から11日に実施された世論調査では、文大統領の支持率が前週比で6ポイントという大きな上昇を示す結果となりました。

国内外からの支援もありました。日本のアーティストであるX JAPANのYOSHIKI氏は、被災地の子どもたちや地域を支援するため、自身の設立した国際的な支援財団を通じて1億ウォン（当時のレートで約1千万円）を寄付しました。この寄付は、友人の韓国人俳優イ・ビョンホン氏の支援活動に感銘を受けたことが動機の一つとされています。

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