202型潜水艦

202型潜水艦：西ドイツ海軍の実験的潜水艦

202型潜水艦は、ドイツ連邦海軍（西ドイツ海軍）が運用していた通常動力型潜水艦です。インジェニエーアコント・リューベック (IKL) によって1957年から設計が開始されました。この潜水艦は、小型ハンターキラー・サブの試作艦として位置づけられ、革新的な技術が導入されました。

開発の経緯

当初、202型潜水艦は6人乗りで40隻の建造が計画されていましたが、技術的な困難と有用性に対する疑問から、最終的に2隻のみが試験的に建造されることになりました。この経緯から、本型は量産を前提としたものではなく、あくまで実験的な要素が強い潜水艦であったことがわかります。

設計の特徴

202型潜水艦の最大の特徴は、船体素材に非磁性鋼を採用した点です。これにより、磁気機雷に対する防御力を高め、敵の磁気探知を回避することが期待されました。また、兵装は533mm魚雷発射管2門のみで、再装填用の魚雷は搭載されませんでした。これは、本型が長期的な作戦行動を想定したものではなく、特定の目標に対する奇襲攻撃を主任務としていたことを示唆しています。

推進器に関しては、1番艦の「ハンス・テッヘル」は205型潜水艦と同様の在来型のスクリューと舵を備えていましたが、2番艦の「フリードリヒ・シュラー」はダクテッド・プロペラの一種であるコルトノズルを備えていました。コルトノズルは、プロペラの効率を高め、水中での騒音を低減する効果があるとされています。

短命な運用

これらの先進的な技術を導入した2隻の202型潜水艦でしたが、就役期間は1年に満たず、間もなくして解体処分されました。これは、技術的な問題や運用上の課題が多かったためと考えられます。しかし、本型で得られた技術的な知見は、その後のドイツ海軍の潜水艦開発に貢献したと考えられます。

艦名について

202型潜水艦は試作実験を目的としていたことから、ドイツ潜水艦（Uボート）で一般的なUで始まる艦名ではなく、ドイツ潜水艦建造において重要であった技術者に由来する艦名が与えられています。これは、本型が単なる兵器ではなく、技術開発のプラットフォームとしての役割を担っていたことを示しています。

スペック

乗員:6名
兵装:533mm魚雷発射管2門

まとめ

202型潜水艦は、西ドイツ海軍が開発した実験的な潜水艦であり、非磁性鋼の採用やコルトノズルの導入など、先進的な技術が盛り込まれていました。しかし、技術的な課題や運用上の問題から、短期間で退役することになりました。本型は、その後のドイツ海軍の潜水艦開発に貴重な知見をもたらしたと言えるでしょう。

関連項目

* コスモス型潜水艦 - イタリア製の小型潜水艦

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