2022年ロシアのウクライナ侵攻へのイランの関与

2022年ロシアのウクライナ侵攻におけるイランの関与

2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻において、イランがロシアに対して軍事支援を行っているとされる問題について詳述します。この問題は、国際的な安全保障環境に大きな影響を与えており、イランと欧米諸国との関係を複雑化させています。

背景

2015年、国連安全保障理事会は決議2231号を採択し、イランに対する武器禁輸措置を定めました。イラン製の通常兵器に対する禁輸措置は2020年10月に失効しましたが、ミサイルおよび関連技術に関する制限は2023年10月まで有効でした。この決議は、イランの核開発活動を抑制し、地域における安定を維持することを目的としていました。

ドローン供与疑惑

2022年2月24日、ロシアはウクライナへの全面的な侵攻を開始しました。当初、ロシア軍はキーウを制圧しようとしましたが、4月12日までにこの試みは失敗に終わりました。その後、ロシア軍はウクライナ東部および南部での攻勢に注力しましたが、ウクライナ軍の反撃により苦戦を強いられました。

このような状況下で、ロシアはイランにドローンの供与を求めたとされています。2022年7月には、米当局がイランがロシアにドローンを供与する計画を立てていると発表しました。そして、10月には、ロシア軍がイラン製の自爆型ドローンをウクライナ国内の民間インフラ攻撃に使用していることが確認されました。

さらに、イランが革命防衛隊の要員をクリミアのロシア軍基地に派遣し、イラン製ドローンの操作方法を指導しているとの報道もなされました。これらの動きは、イランがロシアのウクライナ侵攻に深く関与していることを示唆しています。

10月16日には、イランがロシアにドローンとミサイルの両方を供給する計画があることが報じられました。これに対し、ウクライナ国防省は、イスラエルが短距離および中距離ミサイルをウクライナに移転することで対応する可能性を示唆しました。

10月18日、米国務省は、英仏がイラン製ドローンのロシア供与は国連安保理決議第2231号に違反するとの認識を示したことを支持し、米国も同じ立場であると表明しました。しかし、イランはウクライナ戦争で使用するための兵器の供与を否定しました。

10月22日、フランス、イギリス、ドイツは、ロシアがウクライナを攻撃する際にイラン製のドローンを使用しているとして、国連に対し調査を要請しました。3か国は、国連安保理決議2231号の履行を監視する国連事務局チームによる調査を求め、事務局が技術的かつ公平な調査を行う際の作業を支援する用意があることを表明しました。

11月1日には、CNNが、イランがロシアに弾道ミサイルとその他の兵器を送る準備をしていると報じました。さらに、11月21日には、イランとロシアが攻撃用ドローンのロシア国内での製造開始で合意したとの報道がありました。これらの報道は、イランがロシアへの軍事支援を継続的に強化していることを示唆しています。

ウクライナの対応

ウクライナ政府は、イランのロシアへの軍事支援に対して強い警告を発しています。11月3日、ウクライナはイランに対し、ロシアへの武器供与を続けるなら「絶対に無慈悲な」対応が待っていると警告しました。また、11月24日には、ウクライナ国内でロシアの侵攻に加担するイラン人は標的となると警告し、クリミアでイランの軍事顧問が殺害されたことを発表しました。

ウクライナは、イラン軍がクリミアで民間人や民間インフラに対するドローン攻撃を支援していると非難しており、11月24日には、ウクライナ軍が10人のイラン人を殺害したと発表しました。また、ウクライナ国内にいる他のイラン軍関係者も標的になると警告しました。

戦争研究所は、イランでドローンを主に運用しているのはイスラム革命防衛隊であると指摘し、ロシア側にドローンの使用法を訓練しているのは、「おそらく革命防衛隊の関係者」であると結論付けました。

イランと米国の関係への影響

イランのロシア支援は、マフサ・アミニ抗議運動に対するイラン政府の弾圧やウラン濃縮の増加に向けた動きと相まって、米国とイランの関係をさらに悪化させています。2022年11月24日時点で、米国はイランとの核合意を復活させる意向はなく、最近イランに追加制裁を課しています。

2023年1月9日、米国家安全保障担当補佐官のジェイク・サリバンは、ロシアへのイランのドローン供与は、ウクライナでの「広範な戦争犯罪に寄与している」可能性があると指摘し、米国はイランの指導部に責任を問うことを検討すると述べました。

まとめ

2022年のロシアによるウクライナ侵攻において、イランがロシアに軍事支援を行っている問題は、国際社会に大きな波紋を呼んでいます。イランが供与したとされるドローンは、ウクライナの民間インフラを標的にした攻撃に使用されており、人道的な観点からも大きな問題となっています。この問題は、イランと欧米諸国との関係をさらに悪化させ、国際的な安全保障環境を不安定にしています。

今後、国際社会がこの問題にどのように対応していくのか、注目が集まっています。

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