2022年ロシア・ウクライナ和平交渉

2022年ロシア・ウクライナ和平交渉の詳細

2022年、ロシアによるウクライナ侵攻を終結させるため、複数回の和平交渉が試みられました。しかし、これらの交渉は目立った進展を見ることなく、現在に至っています。本稿では、これらの交渉の経緯、背景、両国の主張、そして国際社会の関与について詳しく解説します。

交渉の背景

2022年2月24日、ロシアのプーチン大統領はウクライナ東部での「特別軍事作戦」を発表し、ロシア軍がウクライナに侵攻しました。侵攻当初、プーチン大統領はウクライナがNATOに加盟しない保証と引き換えに敵対行為を終わらせる暫定和平協定を提案しましたが、これは却下されました。その後、ウクライナのゼレンスキー大統領とベラルーシのルカシェンコ大統領との間で、ウクライナ代表団が前提条件なしでロシア当局者と会談することで合意がなされました。

3月16日には、ミハイロ・ポドリャク氏がウクライナの和平代表団の主任交渉者に任命されました。ポドリャク氏は、15項目の和平案には、ロシア軍の撤退、軍事行動再開時の国際的な軍事支援保証が含まれることを明らかにしました。その一方で、ウクライナはNATO加盟を追求しないという内容も含まれていました。

交渉の経過

侵攻第一段階（2月24日～4月7日）

第一回交渉（2月28日）
最初の交渉はベラルーシ国境付近で行われ、ウクライナ側は即時停戦とロシア軍の撤退を求めましたが、合意には至りませんでした。

第二回交渉（3月3日）
二回目の交渉では、民間人避難のための人道回廊の開設で合意しました。ロシア側は、ウクライナがクリミアのロシアへの帰属、ルハーンシクとドネツクの独立、そして「非軍事化」と「非ナチ化」を要求しました。ウクライナ側はこれらの要求に拒否反応を示しました。

第三回交渉（3月7日）
3回目の交渉では、「人道回廊のロジスティックスに関して一部の小さな前向きな変化があった」と報道されましたが、合意には至りませんでした。また、この交渉前に、第一回目の交渉に参加したデニス・キレフ氏が射殺されるという事件が発生しました。

アンタリヤ外交フォーラム（3月10日）
トルコの仲介により、ロシアとウクライナの外相が会談しましたが、特にマリウポリの民間人支援と避難のための停戦は合意に至りませんでした。

第四回交渉（3月14日～17日）
ビデオ会議形式で行われた交渉では、当初進展が見られませんでしたが、その後、15項目の和平案が議論されるなど、交渉に現実味が出始めました。しかし、ロシアは合意に至っていないとしました。

第五回交渉（3月21日）
5回目の交渉でも突破口は開けず、ゼレンスキー大統領はプーチン大統領との直接会談を求めました。

交渉の再開（3月29日～30日）

3月29日には、イスタンブールで交渉が再開される見通しとなりました。ゼレンスキー大統領は、「ウクライナの安全保障と中立化」に向けた準備ができていると述べました。

侵攻第二、第三段階（4月7日～現在）

4月に入り、ウクライナでの戦争犯罪発覚や、イギリスのジョンソン首相の訪問などにより、和平交渉は中断されました。ロシア側は、ウクライナの和平合意案には容認できない内容が含まれていると主張し、交渉は停滞しました。その後も、各国の首脳がロシアを訪問しプーチン大統領との会談を試みましたが、事態は進展しませんでした。

5月には、ロシアがフィンランドとスウェーデンのNATO加盟申請に対抗し、西部軍管区の部隊を増強する方針を発表しました。ウクライナのゼレンスキー大統領は、クリミアとドンバスの支配権をロシアに譲るべきだとする提案を拒否し、これらの地域を奪還するまで和平に合意しないとしました。これらの交渉は現在、無期限に凍結されています。

9月には、ロシアがウクライナ領土の4地域を併合したことにより、ゼレンスキー大統領はプーチン大統領との和平交渉を拒否しました。ゼレンスキー大統領は国連総会で、和平に至るための5つの条件を提示しました。

10月には、トルコのエルドアン大統領が外交的解決への希望を表明しましたが、ウクライナ側はロシアが真に和平に取り組んでいるとは考えておらず、時間稼ぎをしたいだけだとしました。

11月、ゼレンスキー大統領は、和平交渉開始の前提として、ウクライナの領土保全の回復などの5項目を挙げました。米軍のミリー議長は、軍事的手段では勝利できないと述べ、政治的解決を促しました。

12月、ウクライナ外相は国連を会場とした和平サミット開催を提案しましたが、ロシアはプーチン大統領が併合を宣言した4州をロシア領として認めない和平案は受け入れられないとしました。

穀物輸出

2022年7月、ロシアとウクライナは、黒海経由での穀物輸出の安全確保を目的とした協定を締結しました。しかし、ロシアは協定締結翌日にオデッサをミサイル攻撃するなど、不安定な状況が続いています。

世論調査

ウクライナでは、ロシアへの領土譲歩に反対する意見が大多数を占めています。一方、ロシアでは、和平交渉開始を支持する意見が過半数を超えています。

まとめ

2022年のロシア・ウクライナ間の和平交渉は、複数のラウンドを経ても、両国の根本的な意見の相違から進展が見られないまま、現在に至っています。国際社会は、外交的解決を模索し続けていますが、依然として和平への道筋は見えていません。

この状況は、今後の両国関係、そして国際情勢に大きな影響を与えるでしょう。

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