2023年10月のイスラエルによるガザ地区封鎖

ガザ地区に対する完全な封鎖

2023年10月9日、イスラエルの国防省はガザ地区に対し「完全な封鎖」を実施すると発表した。この封鎖は、同年に始まったパレスチナ・イスラエル戦争の一環として、おもに武装組織ハマスによる攻撃に対する対策として捉えられている。イスラエル側は、ガザへの食料、水、医療品、燃料、電力の全ての輸入を遮断し、特にハマスによって拉致された人質が解放されるまでこの措置を解除しないと決定した。

複雑な背景

ガザ地区は2005年からイスラエルとエジプトによる部分的な封鎖のもとにあり、特定の国境検問所を通じて物資が往来している。2023年10月7日には、ハマスや他の武装勢力がガザから南イスラエルに対し広範な攻撃を行い、このことがイスラエルの報復行動を引き起こしており、戦争が激化する一方だ。イスラエル軍は約30万人の予備役を招集し、大規模な軍事作戦を進めている。

封鎖の詳細

国防相のヨアブ・ガラントは、ガザ地区の完全封鎖に関する発表の中で、「電気、食べ物、水、ガスは一切閉じられている」とし、全面的な包囲を宣言した。この封鎖の影響は甚大であり、ガザ唯一の発電所は2023年10月11日、燃料切れにより停止し、結果として水供給が一時的に中断された。ハマスの人質が解放されない限り、この封鎖は解除されない旨が繰り返されている。

トルコ・パレスチナ友好病院は、ガザ唯一のがん治療施設であったにもかかわらず燃料不足のため閉鎖され、医療面での危機が深刻さを増している。

検問所の状況

ガザ地区への物資援助は、主にラファ検問所を通じて行われるが、この検問所も戦争勃発後に厳しい制限が設けられた。10月18日には相対的に再開されたものの、実際に物資が通過したのは241台に過ぎず、前の水準の500台に比べると著しく減少している。国連は、他の検問所を開放し、さらなる援助物資を通過させるようイスラエルに求めているが、それに対する対応は不透明である。

国際的な反応

国際社会の反応は厳しく、国連人権高等弁務官やノルウェー難民評議会の事務総長からは、国家による封鎖行為が国際法違反であると指摘されている。また、トルコの大統領はイスラエルによる行為を「虐殺」と表現し、強く非難した。さらに、国際赤十字委員会の職員は、ガザの電力供給停止が病院への危険を引き起こすリスクについて警告を発している。

米国は、国連安全保障理事会での人道的支援に関する提案を拒否し、一方で自国のイスラエル支援を正当化するといった態度がみられ、国際的な批判を招いている。特に、赤十字と国連からの危機警告は、今後のガザの人道的状況を一層憂慮させる要因となっている。

結論

イスラエルのガザ地区に対する完全な封鎖には多くの国際的な懸念が寄せられ、すでに困難な状況にある住民の生活をさらに厳しくしていることは明白である。人道的支援の流れが妨げられ、特に医療面での影響は深刻であり、早急な解決策が求められている。国際社会の一層の介入と協力が急務であり、状況の改善が期待される。

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