2024年パリオリンピックのスポーツクライミング競技

2024年パリオリンピック スポーツクライミング競技

2024年夏にフランスのパリを舞台に開催された第33回オリンピック競技大会において、スポーツクライミングは実施種目の一つとして注目を集めました。国際スポーツクライミング連盟（IFSC）の管轄のもと行われたこの大会は、スポーツクライミングがオリンピックに採用されてから通算2度目の開催となります。

実施種目と出場選手

パリオリンピックのスポーツクライミングでは、男女それぞれ「スピード」と「複合（ボルダー＆リード）」の2種目、合計4つのカテゴリーでメダルが争われました。東京2020大会では男女複合のみでしたが、今大会からスピードが独立した正式種目となり、複合はボルダーとリードの組み合わせに変更されています。

出場選手数は合計68名で、内訳はスピード種目が男女各14名、複合種目が男女各20名です。各国からの出場枠には上限が設けられており、男女ともに1種目あたり最大2名までしか出場できませんでした。ただし、開催国であるフランスには、男女のスピードおよび複合種目において、それぞれ最低1名ずつの出場枠が保証されていました。

出場選手選考

今大会への出場枠を獲得するための道のりは、国際的な主要大会での成績が基準となりました。具体的には、2023年にスイスのベルンで開催された世界選手権や、各大陸選手権大会、そして2024年に開催されたオリンピック予選シリーズでの好成績が重要な選考基準となりました。これらの大会での上位入賞者に加え、一部の選手は招待によっても出場資格を得ています。

日本からは、複数の選手が厳しい選考を勝ち抜いて代表の座を射止めました。2023年の世界選手権複合種目では、楢崎智亜選手と森秋彩選手がともに銅メダルを獲得し、早々にオリンピック出場資格を獲得しました。また、ジャカルタで開催されたアジア予選で優勝した安楽宙斗選手、そして2024年のオリンピック予選シリーズで好成績を収めた野中生萌選手も出場権を獲得し、パリの舞台に立つこととなりました。

大会形式

スピード種目

スピード種目は、高さ15メートルの規格化された壁をどちらが速く登れるかを競います。予選には14名の選手が出場し、2回のタイムトライアルを行います。そのベストタイムを基に選手がランキングされ、上位から順に2名ずつによる対戦が行われます。この対戦で勝利した7名と、敗者の中でタイムトライアルを含む予選全体で最も良い記録を持つ1名の、合計8名が決勝トーナメントに進出します。決勝トーナメントの組み合わせは、予選でのベスト記録に基づいて決定されます。

複合種目（ボルダー＆リード）

複合種目は、ボルダーとリードという異なる要素の合計得点で争われます。各パートは100点満点で採点され、両方の得点を合算した合計点によって最終的な順位が決定されます。準決勝に出場した選手の中から上位8名が決勝に進出しますが、準決勝での成績は決勝には持ち越されず、決勝でのパフォーマンスのみでメダルが争われます。

ボルダー種目: 高さ約4.5メートルの課題壁（4つ）を、定められた制限時間内（準決勝：5分、決勝：4分）に登りきることを目指します。各課題は最大25点満点で、得点は特定の地点（ゾーン）に到達したか、あるいは頂上（トップ）に到達したかで決まります。1つ目のゾーン到達で5点、2つ目のゾーン到達で10点、そして頂上到達で25点が得られます。ただし、得点を獲得した課題で複数回試行した場合、失敗した試行1回につき0.1点が減点されるルールが適用されます。

リード種目: 高さ15メートルを超える壁を、制限時間内（6分）でどれだけ高く登れるかを競います。選手は一度しか挑戦できず、壁から落下した時点で競技終了となります。得点は頂上到達が満点（100点）となり、頂上に到達できなかった場合は、到達した高さに応じて減点されます。減点幅は、頂上から数えて不足しているホールド数に基づいて決定されます（例：10手以内の不足は1手につき4点、11手から20手は3点、21手から30手は2点、31手から40手は1点）。40手以上不足した場合は得点がゼロとなります。なお、落下時に次のホールドに向けて前進動作があったと判断された場合、0.1点が加点される細則もあります。

競技結果（日本選手関連）

今大会における日本選手の活躍は目覚ましいものがありました。男子複合準決勝では、安楽宙斗選手が1位で通過し、決勝への切符を掴みました。一方、楢崎智亜選手は10位となり惜しくも準決勝敗退となりました。女子複合準決勝では、森秋彩選手が4位で決勝に進出。野中生萌選手は9位で準決勝敗退となりました。

男子複合決勝では、準決勝をトップ通過した安楽宙斗選手が、ボルダーで1位、リードで5位という成績を収め、見事銀メダルを獲得しました。女子複合決勝では、森秋彩選手がボルダー7位、リード1位と健闘し、惜しくもメダルには届きませんでしたが、4位に入賞する活躍を見せました。

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