2025年大量強制送還に対するアメリカ合衆国での抗議運動

トランプ政権下の移民政策と抗議デモ：2025年のアメリカ

2025年1月20日、ドナルド・トランプ大統領が2期目を迎え、その直後から、不法移民の大量強制送還に反対する抗議デモがアメリカ全土で多発しました。アラバマ州、カリフォルニア州、ジョージア州、イリノイ州、インディアナ州、サウスカロライナ州、テキサス州など、各地で大規模なデモが発生し、社会の分断と抵抗の様相が浮き彫りになりました。

背景：強化される移民取締り

トランプ大統領は再選後、移民取締りの強化に関する公約を次々と実行に移しました。アメリカ合衆国移民・関税執行局（ICE）の活動は活発化し、主要都市圏での強制捜査が頻繁に行われるようになりました。国土安全保障省（DHS）は、大統領の移民政策を支援するため、麻薬取締局（DEA）、アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局（ATF）、連邦保安官局（USMS）など、司法省を含む複数の連邦機関から法執行要員を「移民担当官」として派遣しました。FBI捜査官にも、移民関連の逮捕を可能にする「タイトル8権限」が付与され、その権限は他の機関にも拡大されました。

2025年1月23日には、アトランタ、ボストン、デンバー、マイアミ、ニューヨーク、ニューアーク、フィラデルフィア、シアトル、ワシントンD.C.でICEによる強制捜査が行われ、538人の不法移民が拘束されました。ニューアーク市長は、ICEが令状なしに地元の施設に踏み込み、不法移民だけでなく退役軍人を含む市民も拘束したと主張しました。一方、ホワイトハウスは、逮捕者にはテロリスト容疑者、犯罪組織のメンバー、未成年者に対する性犯罪で有罪判決を受けた者などが含まれていると発表しました。

さらに、トランプ大統領は数万人の移民を収容するために、グアンタナモ湾収容キャンプの使用を検討するよう指示しました。この決定は、国内外から強い批判を浴びました。

各地で巻き起こる抗議運動

アラバマ州

1月29日、アラバマ州アルバートビルのダウンタウンで、強制送還に反対するデモが行われました。参加者たちは「盗まれた土地に不法滞在者はいない」といったスローガンを掲げました。

カリフォルニア州

2月2日、ロサンゼルスのオルベラ通りで大規模な抗議デモが開催されました。参加者はメキシコ国旗を掲げ、「Nobody is illegal（不法移民はいない）」や「Viva Mexico（メキシコ万歳）」といったスローガンを叫びました。デモ隊はハリウッド・フリーウェイの一部を占拠し、交通が一時的に麻痺しました。同日、サンディエゴでも1000人以上が参加するデモが行われました。2月7日には、ロサンゼルス中の高校生が市役所に集まり、抗議の声を上げました。

コロラド州

1月25日、コロラド州オーロラでICEの強制捜査に抗議するデモが行われ、2000人以上が参加しました。デモ隊は州議会議事堂の外で集会を開き、移民法律情報センターのメンバーも参加し、不法移民に法的支援を提供しました。

ジョージア州

2月1日、アトランタ中心部のブフォード・ハイウェイで約1000人がデモを行い、車道を封鎖しました。

イリノイ州

1月25日、シカゴのウォーター・タワー・プレイスでデモが開始され、参加者はトランプ・タワーまでデモ行進を行いました。

インディアナ州

1月30日、インディアナポリスで、政府の移民政策への協力を義務付ける州知事令に抗議するデモが行われました。

ミシガン州

2月5日、ランシングの州会議事堂に約500人が集まり、強制送還政策やトランプ政権の政策を批判しました。

ミズーリ州

2月1日、セントルイスで約1000人が参加するデモが行われ、強制送還政策に抗議しました。

ニュージャージー州

ニューアークにICEの事務所が開設されることに抗議するデモが、トレントンで開催されました。

ペンシルベニア州

2月5日、フィラデルフィアでデモ隊が市庁舎に向かって行進しました。

サウスカロライナ州

1月29日、チャールストンでデモが行われ、参加者が市の許可人数を超えたため、警察が逮捕者を出しました。

テキサス州

1月26日、ダラスとフォートワースで同時にデモが行われました。2月1日には、フルーガービルのICEオペレーションセンター建設計画に抗議するデモが行われました。

これらの抗議デモは、トランプ政権の移民政策に対する広範な抵抗を示すものであり、アメリカ社会における移民問題の深刻さを改めて浮き彫りにしました。

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