21 (アデルのアルバム)

アデルの傑作アルバム『21』

『21』は、イギリス出身のシンガーソングライター、アデルがリリースしたセカンド・スタジオ・アルバムです。このアルバムは、彼女自身の失恋体験を赤裸々に表現した作品として、世界中で大きな反響を呼びました。

制作背景とコンセプト

アルバムの主なテーマは「別れ」。アデル自身の失恋が色濃く反映されています。デビュー・アルバムの成功後、彼女は恋人との時間を優先するためにツアーの日程をいくつかキャンセルしました。しかし、その交際はメディアの注目を集め、彼女は様々なプレッシャーに晒されます。その結果、別れという形で関係は終焉を迎え、その時の感情が『21』の制作に大きな影響を与えました。

アデルは、「このアルバムを書いた時、私の心は張り裂けそうでした。まだ完全には立ち直っていません。私の最後の交際についての私の気持ちから立ち直るのに10年はかかるでしょう。それは私のこれまでの人生の全てにおいて最も大きなことでした」と語っています。アルバムタイトルの『21』は、前作『19』と同様に、レコーディング当時の彼女の年齢を表しており、自身の成長を象徴する意味合いが込められています。

プロデューサーとの出会い

アデルは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのアルバム『カリフォルニケイション』を手掛けたリック・ルービンとの仕事に憧れていました。2008年、彼女がサタデー・ナイト・ライブに出演した際、観客の中にルービンがいるのを見つけます。その後、2人は2009年のグラミー賞で再会し、共同制作を決定。その結果、「Don't You Remember」「He Won't Go」「One and Only」といった楽曲や、ザ・キュアーの「Lovesong」のカバーが生まれました。

また、アデルはライアン・テダーとも偶然出会っています。2009年のグラミー賞で同じホテルに滞在していた2人は、エレベーターで初めて言葉を交わしました。この偶然の出会いをきっかけに、彼らはセカンド・アルバムで共同制作することになり、テダーは「Rumour Has It」や「Turning Tables」をプロデュースしました。さらに、ジム・アビス、フレイザー・T・スミス、ダン・ウィルソン、ポール・エプワーズなど、様々なプロデューサーがアルバム制作に参加しています。

世界的な成功

『21』は、批評家から高く評価され、商業的にも大成功を収めました。全英アルバムチャートでは初登場1位を獲得し、11週連続で首位を独走。その後も首位を奪還するなど、通算23週にわたって1位を記録し、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの『レジェンド』が保持していた連続首位記録を塗り替えました。アメリカのBillboard 200でも初登場1位を獲得し、通算24週にわたって首位を維持。女性アーティストのアルバムとしては、ホイットニー・ヒューストンの『ボディーガード』を上回る歴代1位の記録を達成しました。

アルバムは世界19か国で初登場1位を獲得し、最終的には21か国で1位となるなど、数々の記録を打ち立てました。イギリスでは511万枚、アメリカでは1200万枚以上を売り上げ、全世界での累計売上は3100万枚を突破しています。

グラミー賞6部門受賞

第54回グラミー賞では、「最優秀アルバム」「最優秀ポップボーカルアルバム」の主要2部門を含む6部門を受賞。「ローリング・イン・ザ・ディープ」は「最優秀楽曲」「最優秀レコード」を、「サムワン・ライク・ユー」は「最優秀ポップパフォーマンス（ソロ）」「最優秀ショート・フォーム・ビデオ」を受賞しました。

評価

『ローリング・ストーン』誌が選ぶ「歴代最高のアルバム500選」では137位にランクインするなど、音楽史に残る名盤として評価されています。

『21』は、アデルの音楽キャリアにおける重要な作品であり、彼女の才能と魅力を世界に知らしめるきっかけとなりました。

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