227事件

227事件とは

227事件は、2020年に中国のインターネット上で発生した、人気俳優シャオ・ジャン（肖戦）のファンと同人コミュニティ間の対立と騒動を指します。この事件は、シャオ・ジャンを題材としたある同人小説が発端となり、ファンによる通報、同人サイトの遮断、そしてボイコット運動へと発展しました。

事件の経緯

事の発端は、2020年1月30日、Archive of Our Own（以下、AO3）という同人小説サイトに投稿された『下坠』という作品でした。この小説は、シャオ・ジャンと俳優のワン・イーボーを主人公とし、シャオ・ジャンを性別違和のあるセックスワーカーとして描いたものでした。

これに対し、シャオ・ジャンのファンは、作品の内容がシャオ・ジャンの名誉を毀損するものであるとして反発。2月26日、ファンは作品にポルノ描写が含まれていると指摘し、作者やイラストレーターを批判しました。そして、影響力のあるファンが中心となり、AO3に通報するという行動に出ました。

その結果、2月29日、AO3は中国国内からのアクセスが遮断される事態となりました。この措置は、同人コミュニティを中心に大きな反発を呼びました。なぜなら、中国では二次創作、特に性描写を含む表現は、検閲によって規制されるリスクがあるため、ファン同士の間では「仲間を告発しない」という暗黙の了解があったからです。

AO3の遮断に加え、bilibiliの一部コンテンツも削除されたことで、同人ファンや男性同性愛カップリング（CP）ファンは、シャオ・ジャンが広告契約を結んでいるブランドへのボイコットを呼びかけました。ボイコットの対象は、エスティローダーやピアジェ、カルティエといった国際的な高級ブランドにまで及びました。

これらの同人ファンによる一連の行動は、「227大団結」と呼ばれています。

3月1日、シャオ・ジャンの所属事務所は、騒動について謝罪する声明を発表しました。

事件後の影響

227事件は、シャオ・ジャンのキャリアに大きな影響を与えました。彼は2019年のドラマ『陳情令』で人気を博しましたが、この騒動によって今後の活動が危ぶまれることになりました。

事件後、4月にはシャオ・ジャンの新曲「光点」が発表されました。彼の将来を案じたファンは、こぞってこの曲を購入し、2日間で2000万枚以上を売り上げ、中国における最速デジタル売上記録としてギネス世界記録に認定されました。

しかし、事務所はファンに対し、学業や仕事に支障が出ない範囲で応援するよう呼びかけました。

事件の背景

227事件は、中国におけるファン文化、同人文化、そしてネット検閲の問題が複雑に絡み合って起きた事件と言えます。ファンによる過剰な擁護行動、表現の自由、そして政府によるネット規制といった要素が、この騒動を大きくしたと考えられます。

まとめ

227事件は、単なるファン同士の争いにとどまらず、中国のネット文化や社会問題にまで波及した事件です。この事件は、ファン文化のあり方、表現の自由、そしてネット社会における責任について、私たちに多くの問いを投げかけています。

もう一度検索