2S19ムスタ-S 152mm自走榴弾砲

2S19ムスタ-Sについて

2S19ムスタ-S（ロシア語：2С19 Мста-С）は、ロシアの自走榴弾砲で、1989年から運用が始まりました。「ムスタ」という名称は、従来のソビエト連邦の自走砲に見られる花の名前に由来せず、ムスタ川から取られています。

概要

この自走榴弾砲は、従来の2S1、2S3、2S5を代替する目的で、ウラル運輸車両工場で設計されました。主な特徴として、T-80の車体を流用した点があります。この車両は新たに設計された砲塔を搭載し、信頼性が課題とされていたT-80のガスタービンエンジンは、他の戦車に使用されているディーゼルエンジンに置き換えられています。

砲塔には、多数の先進的なシステムが組み込まれており、フランスのGCT自走榴弾砲と同様に、主力戦車の車体を利用した設計が採用されています。また、砲塔後部には21.6hpのガスタービン補助エンジンが組み込まれており、主エンジンを停止させた状態でも発射が可能です。

搭載される2A64榴弾砲は、改良型の152mm口径で、戦後に開発されたすべての152mm砲弾とレーザー誘導射撃が可能なZOF-39砲弾を使える点が特筆されます。ZOF-39は前線の観測班が照射したYAGレーザーによって追尾される特殊な弾薬です。通常弾の最大射程は24.7km、ロケットアシスト弾（RAP）は36km、ZOF-39は20kmとなっています。

さらに、砲塔内部には50発分の砲弾と装薬を積載でき、自動装填装置によって迅速な射撃が可能です。外部からも給弾が行えるシステムを採用しており、砲弾はベルトコンベアを通じて半自動で装填されます。

発射速度は、内部からの給弾で毎分7～8発、外部給弾の場合は毎分6～7発とされています。2S19は3車種（2S1、2S3、2S5）を統合する車両として設計されましたが、経済的な理由により更新が進んでいないとのことです。輸出に関しても積極的に提案されていますが、実際に採用された国はありません。

派生型

2S19には複数の派生型が存在します：

• - 2S19M1: 2000年に発表された改良型で、GLONASSを用いた精密射撃が実装されています。
• - 2S19M1-155: 2006年に試作された西側向け改良型。主砲を155mm榴弾砲に変更しました。
• - 2S19M2: 2013年発表の改良型で、新しい射撃管制システムが導入され、効率的なミッション遂行が可能になりました。
• - 2S21 ムスタ-K: 装輪型で、KrAZ-Sibir 8x8トラックに砲塔を搭載しています。
• - 2S30 イセット: 改良型の試作車のみが存在します。
• - 2S33 ムスタ-SM: さらなる改良型ですが、詳細は明らかになっていません。
• - 2S35 コアリツィヤ-SV: 2門の152mm榴弾砲を搭載した連装自走砲。2015年に量産先行モデルが完成しています。
• - 1K17: 自走式レーザー兵器システムです。

採用国

2S19は、ロシア国内では約800両（2008年までのデータ）が配備されており、他にはベラルーシ、エチオピア、ウクライナなどで数両が運用されています。

ゲーム等への登場

この自走榴弾砲は、ゲーム『エースコンバット7』に登場し、エルジア陸軍が使用しているシーンが見られます。

結論

結果として、2S19ムスタ-Sは高機能な自走榴弾砲として、多くの改良と派生型を生み出している存在です。武器システムとしての信頼性と性能の向上を追求するために、さらに進化が求められています。

もう一度検索