2in1 (NTTドコモ)

2in1：1台の携帯電話で2つの回線を使いこなすサービス

NTTドコモが提供していたFOMA向けサービス「2in1（ツー・イン・ワン）」は、1台の携帯電話で2つの電話番号、メールアドレス、電話帳といった機能を同時に利用できる画期的なサービスでした。2007年5月25日にサービスが開始され、多くのユーザーに利用されました。

サービス概要と利用方法

2in1では、2つの契約（回線）を1台の端末で管理します。「Aモード」と「Bモード」と呼ばれる2つのモードを切り替えて利用することで、それぞれの契約を独立して利用することができました。通話料金やパケット料金はAモードの契約内容に準拠し、パケット定額サービスも利用可能でした。

AモードとBモードの使い分けはユーザーの自由です。個人名義と法人名義の組み合わせも可能で、請求書を分割することもできました。ただし、パケット利用料や着うたなどのオプション料金は、AモードまたはBモードのどちらかにまとめて請求される仕組みでした。

ドコモには以前から「マルチナンバー」という複数の番号を1台で管理できるサービスがありましたが、2in1はメールアドレスも2つ利用できる点、既存の番号をBモードに割り当てられる点、電話帳が契約ごとに分けられる点が大きく異なっていました。

当初は2回線分の契約としてカウントされていましたが、競合他社からの指摘や総務省の検討結果を受け、2008年3月3日からは1契約として扱われるようになりました。この変更に伴い、同名義2契約を含む異名義での契約が可能となり、料金プランも複数化されました。これにより、2台持ちユーザーも契約を解約することなく2in1に切り替えることが可能となりました。しかし、2008年12月1日からは、Aナンバー契約とBナンバー契約が両方とも個人名義の場合の新規契約はできなくなりました。これは、家族割引サービスの不正利用を防ぐための措置でした。

他社回線との連携も可能で、Aモードに既存のドコモ番号、Bモードに番号ポータビリティで他社から乗り換えた番号を登録することもできました。また、AモードとBモードの番号を2枚のSIMカードに分離することも可能でした。

メール機能

2009年夏モデル以降の対応機種では、Aナンバー、Bナンバー共にiモードメールアドレスによるプッシュメールの送受信が可能になりました。これにより、メール利用における制限は大幅に軽減されました。ただし、設定によりBモードメールを従来のWebメールとして利用することもできました。

2009年春モデル以前の機種では、BモードのメールはWebメールが中心でした。そのため、Aモードと比べて使い勝手が悪く、パケット通信料もやや高額になる傾向がありました。また、Webメールの仕様上、メールへの添付ファイルの新規作成はできず、転送のみ可能でした。

料金プラン

Bモードの料金プランは、利用状況に合わせて選択できました。ただし、新しい料金プラン「カケホーダイ＆パケあえる」では2in1は非対応でした。

注意点

以前は自動契約されていた電話帳お預かりサービス（現ケータイデータお預かりサービス）は、初期設定で契約日の翌日に電話帳がセンターに転送されるようになっており、パケット代が発生する可能性がありました。不要な場合は、2in1契約後すぐに自動転送を停止する必要がありました。2008年3月3日の提供条件変更以降は、このサービスの契約は任意となりました。また、ドコモ ケータイ送金を利用する際は、Bモードで操作していてもAモード側の番号が相手に通知されるという点にも注意が必要です。BモードではSMSの受信は可能ですが、送信はできませんでした。

スマートフォンと2in1

2013年7月現在、2in1に対応したスマートフォンは公式には存在しませんでした。ドコモはスマートフォンでも2in1を契約できるものの、spモードではBアドレスは使用できないとしていました。Androidの仕様上、複数の番号やアドレスを扱うことが困難だったためです。しかし、非公式で自己責任において、擬似的な環境を構築する方法も存在しました。ただし、着信の判別ができない、Bナンバー発信時の特殊な操作が必要など、様々な制限がありました。

まとめ

2in1は、1台の携帯電話で2つの回線を効率的に利用できる革新的なサービスでしたが、スマートフォンの普及や技術的な制約により、時代とともにその役割を終えました。このサービスは、モバイル通信サービスの歴史において、多様なニーズに対応しようとしたNTTドコモの取り組みの一端を示すものです。

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