3 (バンド)

3（スリー）：伝説的トリオELPの遺伝子を受け継ぐバンド

3（スリー）は、1987年にキース・エマーソン、ロバート・ベリー、カール・パーマーという、卓越した才能を持つ3人のミュージシャンによって結成されたロックバンドです。彼らは、エマーソン・レイク・アンド・パーマー（ELP）の音楽性を継承するトリオとして、短期間ながらも強烈な印象を残しました。

結成の背景：ELP再結成への道と新たな試み

ELPの再興を目指したキース・エマーソンとグレッグ・レイクは、カール・パーマーの代わりにコージー・パウエルを迎え、エマーソン・レイク・アンド・パウエル（ELP）を結成しました。しかし、期待されたほどの成功を収められず、短期間で解散。その後、パーマーがエイジアを脱退し、エマーソンとレイクに合流することでELP再結成の機運が高まりましたが、リハーサル中にレイクが降板してしまいます。そこで、エマーソンとパーマーは、元GTRのメンバーであるロバート・ベリーを迎え、「3（スリー）」として新たなスタートを切りました。

1987年 - 1988年：デビューと解散

1987年6月にデモ音源の制作とリハーサルを開始し、同年9月にはレコーディングに着手。1988年2月、デビュー・アルバム『スリー・トゥ・ザ・パワー』を発表しました。4月から5月にかけてアメリカでコンサート・ツアーを行い、デビュー・アルバムの楽曲を中心に演奏しましたが、プロモーター側の要望により、ELP時代の楽曲「ホウダウン」なども演奏されました。ツアー中には、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで開催された「アトランティック・レコード40周年コンサート」に出演し、ザ・ナイスの楽曲などを披露しました。

しかし、精力的な活動にもかかわらず、アルバムの売上は全米最高97位と振るわず、ツアー終了後に解散を発表。わずか1年という短い活動期間で幕を閉じました。

3.2（スリー・ポイント・トゥー）：遺志を継ぐプロジェクト

2015年、キース・エマーソンとロバート・ベリーは、「3」名義での新作を構想し始めましたが、2016年にエマーソンが急逝。その後、ベリーは「3.2（スリー・ポイント・トゥー）」というプロジェクト名でアルバムを完成させ、2018年に『ザ・ルールズ・ハヴ・チェンジド』を発表しました。この作品は、『スリー・トゥ・ザ・パワー』以来、30年ぶりの新作となりました。

2021年には、前作に収録しきれなかった楽曲を含む続編『サード・インプレッション』を発表し、ここに三部作が完結しました。

メンバー

キース・エマーソン (Keith Emerson) - キーボード (1987年-1988年、2015年-2016年)
ロバート・ベリー (Robert Berry) - リード・ボーカル、ギター、ベース (1987年-1988年、2015年-2021年)
カール・パーマー (Carl Palmer) - ドラム、パーカッション (1987年-1988年)

ディスコグラフィ

スタジオ・アルバム

『スリー・トゥ・ザ・パワー』 - To the Power of Three (1988年)

3.2

『ザ・ルールズ・ハヴ・チェンジド』 - The Rules Have Changed (2018年)
『サード・インプレッション』 - Third Impression (2021年)

ライブ・アルバム

『ライヴ・イン・ボストン』 - Live in Boston 1988 (2016年)
Rockin' The Ritz (2018年)

シングル

* "Talkin' Bout" (1988年)

3（スリー）は、短命に終わったものの、その音楽性とメンバーの才能は、音楽史に確かな足跡を残しました。ELPの遺伝子を受け継ぎ、独自のサウンドを追求した彼らの音楽は、今もなお多くのファンを魅了し続けています。

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