3D-Coat

3D-Coatは、ウクライナのPILGWAYによって開発された、スカルプトとペイントに特化したソフトウェアです。開発はAndrew Shpagin氏がほぼ個人で行っており、低価格でありながら非常に高機能な点が特徴です。柔軟で理解しやすいインターフェースを備え、プロフェッショナルな3Dモデリング環境を提供します。

ボクセルとポリゴン、二つのスカルプト方式

3D-Coatの大きな特徴は、ポリゴンのトポロジーに依存しないボクセルベースのスカルプト機能です。ボクセルとは、3D空間を小さな立方体の集合として捉える表現方法です。ポリゴンベースのスカルプトでは、細く伸ばした部分のポリゴン密度が下がり、ディテールの追加が難しくなる場合がありますが、ボクセルではこの問題が発生しません。しかし、空間全体を均一に分割するため、多くのメモリを消費します。したがって、高精細な造形を行うには、高性能なCPUと十分なメモリが必要です。

一方で、3D-Coatは他のスカルプトソフトと同様に、ポリゴンベースのスカルプトも可能です。近年では、ボクセルベースのスカルプトよりも、ポリゴンベースのスカルプト機能の強化に力が入れられています。特に、バージョン4以降に搭載された「live clay」機能は、ポリゴンベースのスカルプトでもトポロジーに依存しないスカルプトを可能にします。これは、スカルプトする部分のポリゴンを動的に分割することで、任意の場所に任意の密度でディテールを追加できる機能です。

強力なリトポロジーとUV展開機能

3D-Coatは、リトポロジーとUV展開ツールにおいても非常に強力な機能を有しています。これらの機能は他のツールと比較して特に優れており、リトポロジーやUV展開専用のソフトウェアとして利用するユーザーもいるほどです。「autopo」と表記される自動リトポロジー機能も搭載されており、適切なガイドラインを設定すれば、高品質なリトポロジーをほぼ自動で行うことができます。

ペイント機能とPtex対応

3D-Coatにはペイント機能も搭載されており、スカルプトからリトポロジー、UV展開、テクスチャ作成まで、3Dモデル作成の一連の工程を完結できます。法線マップ、ディフューズマップ、スペキュラマップなど、リギング前のポリゴンモデルに必要なテクスチャを、3D-Coatだけで作成できます。また、3D-CoatはUVに依存しないテクスチャペイントが可能なPtexを扱える数少ないソフトウェアの一つです。

頻繁なアップデートと進化

3D-Coatは、ベータ版が頻繁に更新され、日々バグ修正と機能追加、機能強化が行われています。ユーザーのフィードバックを反映しながら、ソフトウェアは常に進化を続けています。

参考資料

出力番長 (2008年7月1日). “新製品レビュー：3D-Coat 2.09”. 月刊CGWORLD 2008年8月号. ワークスコーポレーション. 2012年10月25日時点のオリジナルよりアーカイブ. [2011年7月9日閲覧]（日本語）
Xen Wildman (2009年6月27日). “CGenie review 3D-Coat V3”. CGenie.com. CGenie. 2009年8月22日時点のオリジナルよりアーカイブ. [2011年7月9日閲覧]（英語）
Scott Spencer (2011年3月3日). “Review: 3D-Coat 3.5”. 3D World Magazine.com. Future Publishing Limited. 2011年10月10日時点のオリジナルよりアーカイブ. [2011年7月9日閲覧]（英語）

外部リンク

公式サイト（英語）

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