4号特例

4号特例：建築確認審査の簡略化と課題

建築物を建築する際には、建築基準法に基づく建築確認申請が必要となります。この申請は、建築物が法令に適合しているかを審査する手続きですが、すべての建築物を詳細に審査することは、コストと時間のかかる作業です。そこで、一定の条件を満たす建築物に対して、審査の一部を省略できる制度として設けられているのが「4号特例」です。これは建築基準法第6条の4に規定されています。

4号特例の目的

4号特例の導入は、建築確認の審査に要する労力と時間、そしてコストを削減することが主な目的です。小さな建築物まで全てを厳格に審査するよりも、効率的な審査体制を構築することで、国民全体への負担軽減を目指しています。ただし、審査を省略する部分については、建築士と建築主が責任を持って法令の適合性を確保しなければなりません。

対象となる建築物

4号特例が適用される建築物は、大きく分けて以下の2種類です。

1. 認定を受けた型式に適合する建築材料を用いる建築物: 特定の性能基準を満たしていると認定された建築材料や工法を用いる建築物。この場合、認定された部分に関する審査が省略されます。
2. 建築士が設計した4号建築物: 規模の小さな木造建築物（例えば、木造2階建て住宅など）で、建築士が設計したものが該当します。この場合も、審査の一部が省略されます。

特に、後者の「建築士が設計した4号建築物」について、4号特例と呼ぶことが多いです。

審査の省略範囲

4号特例による審査の省略範囲は、建築基準法施行令で詳細に規定されています。一般的に、構造強度に関する審査などが省略されることが多いですが、全ての審査が省略されるわけではありません。省略されない審査項目については、通常の建築確認と同様に厳格な審査が行われます。特に、複数の建築物が集合するような場合（集合住宅など）の集団規定については、審査が省略されることはありません。これは、個々の建築物の問題とは異なり、周辺への影響も考慮する必要があるためです。

建築士の責任

4号特例では、審査の一部が省略されるものの、建築士には法令に適合する建築物を設計・監理する責任が依然としてあります。審査が省略された部分についても、建築士が責任を持って、建築基準法に適合していることを確認しなければなりません。これは、建築物の安全性を確保する上で非常に重要な点です。

問題点：確認代行と欠陥住宅

近年、4号特例を悪用した「確認代行」の問題が深刻化しています。確認代行とは、建築士が実際には設計・監理に関わらず、書類上だけ設計者として名前を連ね、建築確認申請の手続きだけを代行する行為です。この行為は、設計内容をよく理解していないまま申請が行われるケースも多く、欠陥住宅の発生原因の一つとして指摘されています。

まとめ

4号特例は、建築確認手続きの簡素化に役立つ制度ですが、建築士の責任や確認代行の問題など、課題も存在します。安全で適切な建築物の建設を確保するためには、この制度の適切な運用と、関係者の意識向上が不可欠です。 4号特例の適用範囲や審査の省略範囲は複雑であるため、建築主や建築士は、事前に関係法令をよく理解し、専門家と相談しながら適切な手続きを行うことが重要です。

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