4.85x49mm弾

4.85x49mm弾：幻のイギリス小火器用実包

4.85x49mm弾は、イギリスが1970年代に個人用武器計画のために試験的に製造した小火器用の実包です。この弾薬は、後にSA80系統の小銃で使用されることを想定して開発されましたが、最終的にNATO標準規格には採用されず、その生涯を終えました。

設計

4.85x49mm弾の設計は、当時主流であった5.56x45mm NATO弾を基盤としています。しかし、弾丸の口径を5mmに縮小し、薬莢のネック部分を5.56mm弾よりも長くするなどの変更が加えられました。これは、5.56mm弾と同等の性能を維持しつつ、より優れた銃口初速を得ることを目的としていました。初期の設計では、5x44mm弾として開発が始まり、その後、4.85x44mm弾への改称を経て、現在の4.85x49mm弾に至っています。

開発の経緯

1960年代、イギリスは7.62x51mm NATO弾に代わる、より軽量で効果的な弾薬の模索を始めました。当初は、.280ブリティッシュ弾をベースに6.3mm口径の弾薬を検討していましたが、西ドイツの研究で5mm口径以下の弾薬の可能性が示唆されたことから、5mm口径の弾薬開発に舵を切りました。

1970年、最初の試作品である5x44mm弾が製造されました。この弾薬は、別の試験弾薬である6.23x43mm弾の弾頭形状を基に設計されました。その後、5.56mm NATO弾の薬莢をリフォームして製造されるようになりました。しかし、試験銃身の山径に合わせて口径を微調整した結果、4.85x44mm弾に改称されました。さらに、薬莢への弾丸の収容に問題があることが判明し、ネック部分を5mm延長して4.85x49mm弾が誕生しました。

1970年代を通じて、4.85x49mm弾とL64/65小銃の試験が繰り返されました。1976年には、L64/65兵器システムが公式発表され、4.85mm弾が公に知られるようになりました。1977年には、NATOの標準弾薬を選定するトライアルが行われ、イギリスは4.85x49mm弾の採用を期待しました。XL1E1普通弾とXL2E1曳光弾が大量に製造され、トライアルに供されましたが、最終的に5.56mm弾が選定され、4.85mm弾は公式に廃棄されることとなりました。1979年、FNハースタル社のSS109弾が5.56mm弾としてNATO標準に選ばれ、4.85mm弾の歴史は幕を閉じました。

派生型

4.85mm弾には、開発中にいくつかの派生型が作られました。

普通弾 (XL1E1)：最も広く使われた型式で、NATOの公試でも用いられました。重量約4gの弾丸を持ち、銃口初速949m/s、初活力1640Jでした。
曳光弾 (XL2E1)：弾頭先端部がオレンジ色に着色されています。いくつかの派生型が作られましたが、XL2E1が最も広く使用されました。
徹甲弾：4.85x44mm弾と4.85x49mm弾の両方のために開発されましたが、大量生産はされませんでした。弾丸先端部のすぐ下に黒色の帯があります。
縮射弾：短射程用に設計された派生型で、白いプラスチック製の弾頭を使用します。
擬製弾：訓練用に使用され、初期のものは4.85x44mm弾の空包を流用し、ネック部分を延長したものでした。後期のものは、弾丸基部に穴を開け、薬莢に縦溝を入れたり、青いプラスチック製の弾頭を使用したものがありました。
空包：小銃擲弾の発射に使用されたものを含め、いくつかの種類が存在します。ローズクリンプ形状のものが一般的でした。

参考文献

Overview and pictures of the 4.85x49mm cartridge and its variants

関連項目

.17レミントン弾(英語版)
* 5.56x45mm NATO弾

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