463Lマスターパレット

463Lマスター・パレットについて

463Lマスター・パレット（英語: 463L master pallet）は、アメリカ空軍の463L貨物輸送システムの一部として設計された重要な荷役機器です。このパレットは主に西側諸国の軍用輸送機で広く使用されており、航空貨物の効率的な輸送を実現しています。

開発の背景

1950年代半ば、航空貨物輸送の効率化が求められる中、荷役システムの必要性が認識され始めました。1957年には、アメリカ空軍が航空輸送に関する運用要件を初めて定義し、1959年5月には荷役システム全体についての設計契約を締結しました。このプロジェクトは「463L」と名付けられ、ライト・パターソン空軍基地に置かれた空軍の航空システム部門（ASD）がその責任を担いました。

1960年には、定義調査が完了し、その結果が空軍の主要コマンドや陸海軍によって審査されました。その際、ユニットロード・システムの導入や機械化の推進、輸送書類の単一化などの提言がなされ、最終的に5つのファミリーにハードウェアを分けることが推奨されました。その中の一つが貨物パレット化ファミリーであり、ここに分類されたのがマスター・パレットです。

運用試験は航空輸送部門により行われ、463L貨物輸送システムに関わるハードウェアは1962年の春から配備が始まりました。当初は基地間の輸送に使用されていましたが、その後、前方への直接輸送へも利用されるようになりました。

マスター・パレットの設計

マスター・パレットはHCU-6/Eという名称で知られ、サイズは88インチ×108インチ（約224センチ×274センチ）、重さは290ポンド（約131キログラム）です。この寸法は、民間のバンや軍用車両による輸送、さらにはC-118、C-121、C-124といった輸送機への搭載を最適化するために設定されました。また、パレットの半分のサイズであるハーフサイズ（HCU-10/CまたはHCU-12/E）も使用されています。

マスター・パレットは、囲いを持たず、四辺にそれぞれ2インチの余白が設けられています。この余裕部分を使って、ネット（HCU-7/EまたはHCU-15/C）やロープ（CGU-1/B）で貨物を固定します。そのため、実際の積載可能な面積は84インチ×104インチ（約213センチ×264センチ）となります。パレットの最大積載重量は10,000ポンド（約4,540キログラム）に設定されています。

構造は木材または樹脂コアにアルミ製のレールを組み合わせたもので、これにより強度が保たれています。レールには、輸送機側の固定装置と接続するためのリングが取り付けられており、長辺に6個、短辺に5個配置されています。この設計により、フォークリフトでの直接使用や、悪条件下での吊り下げ作業が可能となっています。

輸送機への搭載能力

463Lマスター・パレットは、様々な輸送機に適用できるよう設計されています。具体的な搭載可能枚数は以下の通りです:

• - C-130E/H/J: 6枚
• - C-130J-30: 8枚
• - C-141A: 10枚
• - C-141B: 13枚
• - C-5A/B/M: 36枚
• - C-17A: 18枚
• - C-1: 3枚
• - C-2: 8枚
• - CN-235: 4枚
• - C-295: 5枚
• - KC-10: 27枚
• - KC-767: 19枚
• - KC-46A: 18枚
• - A330 MRTT: 34枚
• - A400M: 9枚
• - CH-47: 3枚
• - V-22: 1枚相当（ハーフパレット2枚）

このように、463Lマスター・パレットは高い柔軟性と効率性を持ち、軍事および物流の現場で重要な役割を果たしています。

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