5.8SリボソームRNA

5.8SリボソームRNA (5.8S rRNA) について

5.8SリボソームRNA（5.8S rRNA）は、真核生物のリボソーム大サブユニットに存在するノンコーディングRNAです。タンパク質の翻訳において重要な役割を果たしています。

転写と機能

5.8S rRNAは、RNAポリメラーゼIによって45S pre-rRNAの一部として転写されます。この45S pre-rRNAには、他に18S rRNAや28S rRNAも含まれています。5.8S rRNAの主な機能は、リボソームのトランスロケーションに関与すると考えられています。また、p53タンパク質と共有結合を形成することも知られています。

5.8S rRNAは、miRNA（マイクロRNA）の検出におけるリファレンス遺伝子としても利用され、rRNAが関与する様々な細胞内プロセスや経路の理解を深めるために役立てられています。

進化的な特徴

5.8S rRNAは、真核生物以外の生物のリボソーム大サブユニットrRNA（LSU rRNA）の5'末端と相同性を持っています。真核生物においては、ITS2（internal transcribed spacer 2）の挿入によってLSU rRNAが5.8S rRNAと28S rRNAに分割されています。一部のハエの種では、5.8S rRNAがさらに2つの部分に分割されている例も存在します。

構造

5.8S rRNAは約150ヌクレオチドの長さで、その大部分は複雑に折りたたまれた構造をしています。しかし、一部の領域は一本鎖構造であると推測されています。5.8S rRNAは、28S rRNA、5S rRNA、そして約46種類のリボソームタンパク質と共に、リボソームの大サブユニットを形成します。

5.8S rRNAは、まず18S rRNA、28S rRNAと共に45S pre-rRNAとして転写されます。45S pre-rRNAには、ITS1、ITS2（internal transcribed spacer）、5' ETS、3' ETS（external transcribed spacer）といった領域も含まれています。5.8S rRNAは、2つのITS領域の間に位置しており、ITS1は5.8S rRNAの5'側に位置し18S rRNAを隔てており、ITS2は3'側に位置し28S rRNAを隔てています。これらのITSとETSは、rRNAの成熟過程でエンドヌクレアーゼとエキソヌクレアーゼによる連続的な切断経路を経て除去されます。これらのスペーサー領域は特定の位置で正確に切断されます。

まとめ

5.8S rRNAは、リボソームの構造と機能において重要な役割を果たすノンコーディングRNAであり、その構造や機能の解析は、タンパク質合成のメカニズムや細胞内でのrRNAの役割を理解する上で不可欠です。

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