7.11水害

7.11水害（1995年）

1995年（平成7年）7月11日から12日にかけて、信越地方を襲った7.11水害は、記録的な集中豪雨により、新潟県上越地方、長野県北信地方、富山県東部地域に甚大な被害をもたらしました。この災害は、梅雨前線の活発な活動が主な原因であり、一級河川である姫川、関川、黒部川流域を中心に、広範囲にわたる被害を引き起こしました。

概要

7.11水害では、死者2名、家屋の全半壊39戸と、直接的な人的被害は比較的少なかったものの、1万人以上が避難を余儀なくされました。しかし、道路や鉄道などのインフラが深刻な損傷を受け、その復旧には数年を要するほどの大きな爪痕を残しました。特に、姫川、関川、黒部川の各流域では、それぞれ異なる様相の被害が発生し、地域住民の生活に大きな影響を与えました。

各流域の被害状況

姫川流域

姫川では、記録的な豪雨により河川が氾濫し、支流や周辺の山腹斜面では、土石流や地すべりが多発しました。幸いにも、流域での死者・行方不明者は発生しませんでしたが、交通手段が途絶した糸魚川市平岩地区では、500人以上の住民がヘリコプターによる救助を必要とする事態となりました。

また、国道148号は、基礎部分が洗掘されたことによりスノーシェッドが転覆し、県境の国界橋が土石流によって流出するなど、交通インフラが壊滅的な被害を受けました。国道148号の全線復旧には、約3年5ヶ月という長い期間を要しました。同様に、JR大糸線も斜面崩壊や土石流により各地で寸断され、全線復旧には約2年4ヶ月を費やしました。

なお、この災害の復旧活動中に発生した蒲原沢土石流災害では、14名もの犠牲者が出ています。

関川流域

関川流域では、新井市（現・妙高市）月岡の関川と渋江川の合流点付近など、複数の箇所で堤防が決壊しました。関川上流域では、地震滝橋や国道292号猿橋をはじめとする複数の橋が流出し、住宅や自動車が押し流されるなど、甚大な被害が発生しました。また、新井南中学校（現在は閉校）のプールが破壊されるという被害も発生しました。

下流域では、関川支流の保倉川や戸野目川で河川が溢水し、上越市内の住宅や工場に浸水被害をもたらしました。

黒部川周辺

黒部川周辺では、黒部峡谷温泉郷にある名剣温泉の露天風呂と源泉、黒薙温泉の露天風呂や入浴施設が濁流によって流失しました。黒部峡谷鉄道も8箇所にわたって不通となり、復旧には4ヶ月、完全復旧には翌1996年7月20日まで時間を要しました。また、支流の祖父谷では大規模な崩壊が発生し、川が堰き止められた結果、祖父谷に天然ダム湖が形成されました。

まとめ

7.11水害は、信越地方に甚大な被害をもたらした大規模な自然災害であり、その復旧には長い年月と多大な労力を要しました。この災害の教訓を活かし、今後の防災対策に役立てていくことが重要です。

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