73式魚雷

73式魚雷の概要

73式魚雷（ななさんしきぎょらい）は、1960年代に日本の技術研究本部によって開発された短魚雷であり、当初はG-9と呼ばれていました。その後、G-9Bへの名称変更を経て、1973年に73式として正式採用されました。この魚雷は、特に潜水艦や艦艇に対する対潜兵器として設計され、アメリカの誘導魚雷であるMk.44やMk.46に対抗するために開発されました。

開発の背景

本魚雷の開発は、1950年代後半にまで遡ります。技術研究本部が開発していた試製54式3型魚雷において、3次元パッシブ・ホーミング誘導システムを導入していたことが起点として、国内での技術確立を目的にG-9計画が始まりました。当時、海上自衛隊ではアメリカ製の短魚雷Mk.44の導入を進めていましたが、同時期にソビエト連邦が原子力潜水艦を急速に配備しており、Mk.44の性能では物足りないという意見が出始めていました。

このような背景から、G-9計画はMk.44の後継として計画変更され、短魚雷としての能力向上が求められるようになりました。設計上はMk.44の外形を踏襲し、相互運用性を重視することが求められました。69年度からはより具体的な開発が進められ、数回の技術試験を経て安定したホーミング装置や新型の電池を搭載することで、開発が前進していきました。

制式化と配備

73式魚雷は1973年に正式な制式名を得て、海上自衛隊の主力対潜魚雷として配備されました。海上自衛隊では、Mk.44と併用して使用されていましたが、73式魚雷自身の能力も重要視されていきました。1970年代には改良型となる73式魚雷（改）の開発も行われました。この改良型は、魚雷防御策への対抗機能を強化するため、新しい振動素材を使ったソナーやパッシブモードの追加などを行っていました。アメリカ海軍のMk.46 mod.2に匹敵する性能を持つとされていましたが、試験の途中でMk.46 mod.5が日本に輸出されることが決まったため、そちらが新たな主力魚雷として採用されることになり、73式魚雷（改）の新規生産は行われないこととなりました。

その代わりとして、既存の73式魚雷は改修用キットを組み込んだ73式魚雷（B）として装備が進められ、1984年から運用が開始されました。これにより、Mk.46 mod.5の導入に合わせて73式魚雷も一定の役割を果たすことになりましたが、TCCM機能についてはアメリカからのブラックボックス状態での供給のみであったため、測定や訓練を通じて技術的評価を行い、能力の向上を図る努力が続けられました。

退役

2011年まで73式魚雷（B）は運用されましたが、2012年度に全てが廃棄され、退役しました。73式魚雷の開発と運用は、日本の防衛戦略における技術的な進歩の一環であり、今後の対潜兵器の開発に向けた重要な経験となったと言えるでしょう。

参考文献

　

関連項目

• - [ウィキメディア・コモンズに73式魚雷に関するカテゴリがあります。]
• - A244 - イタリア製の同世代・同級機。

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