80's FACTORY

80's FACTORY: 福岡の音楽シーンを支えたライブハウスの誕生と潮流

『80's FACTORY』は1979年8月から1982年3月にかけて、福岡県福岡市中央区舞鶴の親不孝通り沿いに存在したライブハウスです。この場所は、当時の福岡の音楽シーンにおいて重要な役割を果たし、特にロック音楽の隆盛を促進しました。多くの若者たちが県外から集まり、音楽を求めてこの場所に足を運びました。

80's FACTORYは「工場」という名が示すように、新しい音楽の発信地としての役割を果たすために立ち上げられました。店長の伊藤エミのリーダーシップのもと、1979年に開店し、福岡では初めて本格的なライブハウスとして多くの観客を収容できることを目指していました。このハウスは、最大300人を迎え入れ、本格的な音響設備とステージを備えていたため、音楽ファンにとって魅力的なスポットとなったのです。

建物は鉄筋コンクリート造の3階建てで、ライブハウスは1階に設置されていました。上階には関連する飲食店もあり、これにより訪れた客は快適に音楽を楽しむことができました。特に注目すべきは、客席から1メートル以上の高さにあるステージのデザインで、広い間口を持つ点がライブパフォーマンスをより魅力的にしていました。また、出演者が利用する楽屋はステージの下に位置しており、出演者は楽屋から階段を上がってステージに立つことができるよう工夫されていました。

このハウスでは、多くのバンドやパフォーマーがそのキャリアをスタートさせ、関東や関西からも音楽関係者やスカウトが訪れました。そのため、「福岡は日本のリヴァプール」と称されることもありました。このような盛り上がりの中で、80's FACTORYは数々の才能を輩出し、音楽シーンを牽引しました。

しかし、華々しい線を引いたこの場所も、1982年3月31日に惜しまれつつ閉店を迎えました。その最後の日には『80’s FINAL』というライブイベントが開催され、多くのファンが集まりました。

さらに、80's FACTORYは後に陣内孝則によって映画『ROCKERS』の舞台に使われ、この映画は2003年に公開されました。閉店から25年後の2007年、OBたちによって新たなイベント『80's FACTORY NIGHT25』が福岡市中央区長浜のライブハウス「福岡CB」で開催され、大盛況となりました。

このライブハウスは、アナーキー、生活向上委員会、THE MODS、ザ・ロッカーズ、センチメンタル・シティ・ロマンス、プラスティックス、もんた&ブラザーズなど、多くの有名なバンドの拠点でもありました。音楽ファンにとって80's FACTORYは、特別な場所であり、50年近く経った今でも語り継がれています。

このように、80's FACTORYは福岡の音楽シーンのパイオニアとしての役割を全うし、当時の音楽文化に大きな影響を与え続けています。

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