8020運動

8020運動とは

8020運動（はちまるにいまるうんどう）は、日本における歯科に関する重要な健康促進運動で、80歳を迎える際に20本以上の歯を維持することを目指しています。この運動は、口腔の健康を促進し、高齢者が自分の歯で食事を楽しめるようにすることを目的としており、厚生労働省と日本歯科医師会の主導のもとに展開されています。

現状と達成状況

日本において、8020運動の影響は顕著であり、近年の調査結果においてもその効果が現れています。1999年に実施された第八回歯科疾患実態調査では、80歳の時点での平均残存歯数は約8本であり、20本以上の歯を持つ高齢者は約15%にとどまっていました。しかし、2005年に行われた第九回調査では、平均残存歯数が約10本に増加し、20本以上の歯を維持している高齢者の割合も21.1%まで上昇しました。

これは、国民の口腔衛生に対する認識の向上を反映しており、正しい歯科衛生の知識や習慣の浸透から、残存歯数や8020達成者の割合が増えていると考えられます。2016年には、8020の達成者の割合が51.2%であると推計されており、その数字は今後もさらなる増加が期待されています。

歴史的経緯

8020運動の始まりは1985年に遡ります。この年、愛知県豊田市で行われた調査により、10本以上の歯を失った高齢者が、特定の硬い食品を食べることができないという結果が得られました。この調査結果から、80歳での喪失歯数を10本以下に抑えることが提案されました。1987年には、神奈川県厚木市で「8010」運動が提唱され、80歳での喪失歯を10本までにすることが目的として掲げられました。さらに1989年には、愛知県で残存歯20本以上を目指す8020運動が始まり、これが全国へと普及しました。

2000年には、国民健康づくり運動の一環として、2010年までに20本以上の残存歯を持つ高齢者を20%にしようという目標が設定され、8020推進財団も設立されるなど、運動の本格的な展開が見られました。2013年には、東京都港区において8020を達成した区民が50%を超えたとの発表があり、全国平均を大きく上回る成果を収めました。この結果は、国が2022年度までに全国平均で50%を目指す目標に対し、10年早く達成されたことになります。

関連項目

8020運動は、個人の口腔健康に寄与するだけでなく、高齢者が食文化を楽しむための基盤を作ることにも繋がります。この運動と関連のある用語としては、う蝕、歯周病、咬合学などがあります。また、8020探検隊というテレビ番組も放送されており、運動の情報を広める一助となっています。今後も8020運動の推進により、日本における高齢者の健康的な口腔環境の確保が進むことが期待されています。

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