834.194

アルバム『834.194』について

サカナクションの7枚目のオリジナルアルバム『834.194』は、2019年6月19日にリリースされ、前作から約6年3ヶ月ぶりの新作品となりました。このアルバムは、日本のロックバンドとしての成熟を感じさせる楽曲の数々が収められています。アルバムのタイトルには、札幌時代から東京に至るまでの距離として834.194kmが由来しています。

リリース背景

バンドのリーダーである山口一郎が、「サカナLOCKS!」というラジオ番組でアルバムの発売を発表したのは2019年の3月7日でした。当初の発売日は4月24日とされていましたが、歌詞の完成が間に合わず、最終的に6月19日に発売が延期されました。アルバムは通常盤と限定盤の3形態でリリースされ、それぞれCD2枚に合計18曲が収録されています。

アルバムのコンセプト

『834.194』の全体的なテーマは「作為性と無作為性」または「札幌と東京」という2つの位置関係に基づいています。各曲は、札幌のスタジオ・ビーポップと東京の青葉台スタジオのもとで録音され、楽曲を通じてそのプレースメントを表現しています。アルバムは、ポップでアッパーな曲が収録されたDISC 1と、よりディープでノスタルジックな曲が中心となるDISC 2に分かれており、各々が異なる側面を持ち合わせています。

制作過程

サカナクションのメンバーは、各曲の原曲を山口が制作し、それをもとにアレンジを行いました。録音は青葉台スタジオとソイ・スタジオで行われ、チーフエンジニアの浦本雅史がサウンドプロデュースを担当しました。彼の存在は、バンドの音楽的進化において重要な役割を果たしており、「6人目のメンバー」としても知られています。

楽曲の特徴

アルバムには、前述の通り各ディスクに独自の特徴が存在します。DISC 1のオープニング「忘れられないの」は、AORの要素を取り入れた楽曲で、バンドメンバーはこのスタイルを追求して続けてきたと語っています。続く「マッチとピーナッツ」や「陽炎」などは、リズミカルでダンス要素も含んでいます。一方、DISC 2では「グッドバイ」、「蓮の花」、「ユリイカ」といったシングル曲が収録され、メロディの奥深さや感情の表現が際立っています。

批評と評価

『834.194』は多くの批評家から高く評価されており、オリコンチャートでは最高位2位を記録しました。また、日本レコード協会からはゴールドディスク認定も受けており、人気アルバムとしての地位を築いています。

プロモーション活動

アルバムリリースに際し、ミュージックビデオも制作され、「ナイロンの糸」「忘れられないの」「モス」の3つの楽曲が映像化されました。さらに、アルバムを引っさげたツアーも開催され、全国各地で多様なパフォーマンスが行われました。2020年には新型コロナウイルスの影響でツアーのうち多くが中止となり、代わりにオンラインライブが実施されるなど、バンドは柔軟に対応を行いました。

総括

『834.194』は、サカナクションの長いブランクを経て放たれた確かなアルバムであり、札幌と東京という二つの場所を音楽的に行き来する試みが詰まっています。収録曲の多様性に加えて、メンバー間の信頼関係と製作の共有が感じられる作品となっています。

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