89mmロケット発射筒 M20改4型

89mmロケット発射筒M20改4型について

89mmロケット発射筒M20改4型は、陸上自衛隊が使用した携帯式の対戦車ロケット発射装置です。この装置は、アメリカ陸軍によってM20A1 スーパー・バズーカとして公式に採用された同一の型式に基づいており、バズーカシリーズの最も進化したモデルとされています。

歴史的背景

M20は、朝鮮戦争の実戦において初めて運用されました。この戦争の初期、アメリカ軍は第二次世界大戦での主力兵器であった2.36インチM9バズーカの威力不足に直面しました。特に、朝鮮人民軍が使用していたT-34戦車にはほとんど効果がない状況であり、急遽開発された4インチ口径のM20スーパーバズーカが大量生産され、朝鮮半島に空輸されることとなりました。これにより、国連軍の歩兵は初めてT-34に対抗できる兵器を手に入れることができ、その後の戦局において大きな影響を与えました。

日本においては1951年に警察予備隊がアメリカ軍からこのM20を導入し、その後陸上自衛隊が組織されるとともに装備が継続されました。この89mmロケット発射筒は、21世紀まで装備が引き継がれ、実に50年以上にもわたって使用されるという長寿命の装備となりました。

設計と特性

この発射筒は、口径89mmと大きなサイズを誇りながら、M18やM20の無反動砲への代替として機能していました。しかし、短射程のロケット弾を使用するため、射程は他の火器に比べて劣っていました。

M20は、朝鮮戦争での運用から幾つかの改良を経て、M20A1やM20B1などのモデルが登場しました。これらの改良には、発火機構の改善や軽量化が含まれています。全長が1.5メートルを超えるため、運搬時には分割され、使用前に組み立てる必要があります。発射は電気的な発火式であり、そのため砲手は静電気対策が求められるため、若干危険が伴う兵器でもありました。

弾薬にはM35成形炸薬弾や訓練用の無弾頭ロケット弾があり、通常使用される弾薬の特性に応じて照準器の交換が必要です。また、ロケット弾の発射時には遅延が発生するため、射手が発射姿勢を適切に保たなければ、目標に当たらない可能性がありました。

運用に関する詳細

1960年代には、M9バズーカが退役すると、M20ロケット発射筒は主力対戦車兵器として引き続き装備されました。しかし、対戦車ミサイルや携行無反動砲が導入されるにつれて、次第に第1線からは外されました。それでも、後方支援部隊や特殊部隊では自衛用火器として長期間使用され、訓練用の設備としても重宝されました。

2010年代に全てのM20が後継の84mm無反動砲や110mm対戦車兵器に置き換えられた後も、駐屯地資料館での展示に活用されています。これにより、歴史的な価値を持つ装備として多くの人々に親しまれています。

映画やテレビドラマにおける登場

この兵器は、日本の映画やテレビドラマにもたびたび登場します。『ゴジラvsビオランテ』や『ウルトラマン』シリーズでは、架空のシナリオにおいて自衛隊の武器として描かれています。特に、陸上自衛隊の全面協力のもと、実物を使用した撮影が行われています。

このように、89mmロケット発射筒M20改4型は、歴史的背景を持つ装備品として、日本の自衛隊に深く根付いています。

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