9.12水害

9.12水害の詳細

1976年9月12日、岐阜県で発生した大規模な水害、通称「9.12水害」または「安八水害」は、多くの住民に深刻な影響を与えました。この水害は特に安八郡安八町において、長良川の決壊によるものが最も顕著でした。降雨は9月7日から始まり、台風17号の影響を受けて9月8日から14日にかけて続きました。この間、長良川の流域では、記録的な降雨量が観測されました。

気象の影響

特に、長良川流域の大日岳では1175mm、八幡町では1091mm、美濃市では840mmの雨が降り、揖斐川流域でも樽見で951mm、大垣市で824mmが記録されました。これらの降水量は、地域に大規模な洪水を引き起こしました。

豪雨の展開

雨は9月8日の午前10時頃から強まり始め、同日午後には大雨・洪水警報が発表されました。この日から、岐阜県内の河川が氾濫し、多くの土砂崩れや道路の寸断が発生しました。9月9日には災害対策本部が設置され、岐阜市や高富町に災害救助法が適用されました。

その後、雨は続き、10日には再び断続的な豪雨が発生。「長良川の水位は、9日午前に7.3mに達するなど、急速に増水が続きました。11日には、小規模河川の溢流や堤防の決壊が相次ぎ、自衛隊が出動し救助活動が始まりました。

9月12日の惨状

水位がさらに上昇した9月12日、午前5時には墨俣町で7.14mに達し、安八町では堤防の亀裂が見つかり、補強作業が行われましたが、その数分後の午前10時28分、堤防が決壊し、周辺は急激に浸水しました。この決壊により、約1,200世帯が被害を受け、追加の堤防作業が行われましたが、水は逆流し、不幸にも墨俣町全域が水没しました。

長良川の支流でも堤防が決壊し、岐阜市や大垣市などでさらなる浸水被害が発生しました。

救助活動と被害状況

9月13日には、岐阜県内の17市町村に災害救助法が適用され、多くの避難所が設置され、延べ190,010人が避難しました。人的被害は、死者8人、行方不明者1人、重傷者6人、軽傷者16人に達しました。床上浸水の件数は24,209件、床下浸水は51,276件に達し、安八町や墨俣町における被害が特に深刻でした。

その後の再評価

水害による被害を最小限に抑えるために行われた堤防作業や救助活動は、今後の災害対策において重要な教訓となりました。特に、当時撤去される予定だった輪中堤の有効性が再評価されました。20世紀の終わりには、さらに大きな豪雨に見舞われることになりますが、9.12水害は岐阜県における災害歴の中でも特に記憶に残る事件となりました。

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