9/10 ジュウブンノキュウ

9/10 ジュウブンノキュウ

『9/10 ジュウブンノキュウ』は、2005年に公開された日本の長編映画である。限られた空間の中で繰り広げられるシチュエーションミステリーの形式を取り、同窓会に集まった男たちの間に生じたある出来事に関する記憶の空白とその謎を主軸に物語が進められる。

概要

本作は、再会を祝うはずの同窓会が、予期せぬ謎へと発展していく過程を描いた作品である。監督は東條政利が務め、脚本も監督自身がなるせゆうせいと共に手掛けている。製作は齊田春日、プロデューサーを黒川章太が担当した。映像面では、撮影を高間賢治、照明を上保正道、美術を斎藤岩男が担当し、音響面では録音を井家眞紀夫が務めた。編集は小川王子、音楽プロデューサーは和田亨、音楽は林祐介がそれぞれ担当している。映画の根幹をなすのは、特定の出来事に対する複数の人物間での記憶の食い違いや欠落であり、登場人物たちの心理的な駆け引きや葛藤を通じて、その真相に迫ろうとする構成となっている。

物語

物語は、かつて共に青春時代を過ごした男性たちが久しぶりに集まる同窓会の場面から始まる。集まったのは総勢9名。和やかな雰囲気の中で始まったはずの再会の場であったが、やがて彼らは、ある特定の共通した出来事について、それぞれの記憶が曖昧であったり、あるいは完全に抜け落ちていることに気づき始める。なぜ特定の記憶だけが失われているのか、それは偶然なのか、あるいは誰かの意図によるものなのか。閉ざされた空間の中、男たちは互いを疑い、時に協力しながら、失われた記憶のピースを探し求めることになる。本作は、外部からの介入がほとんどない状況で、登場人物たちの会話や行動、心理的な変化のみによって物語が駆動していく典型的なシチュエーションスリラー、およびミステリーのスタイルを採用している。彼らが直面する「記憶の空白」という不可解な現象は、単なる個人的な忘却ではなく、そこに隠された何らかの真相があることを強く示唆する。

キャスト

本作の主要な登場人物である9名の男性は、以下の俳優たちが演じている。彼らはそれぞれが抱える個性や背景を持ち寄り、記憶の謎を巡る緊迫したドラマを繰り広げる。

速水俊介：中泉英雄
宜保霊治：関谷正隆
鬼塚譲二：藤川俊生
坂本昇：鈴木淳評
石澤智：石澤智
桐山亮：吉舎聖史
森山光太郎：黒川達志
豊臣賢：金井勇太
菊池伝助：兒玉宣勝

上記の9名に加え、武田裕光も出演している。

スタッフ

映画製作を支えた主なスタッフは以下の通り。

製作：齊田春日
プロデューサー：黒川章太
監督：東條政利
脚本：なるせゆうせい、東條政利
撮影：高間賢治
照明：上保正道
美術：斎藤岩男
録音：井家眞紀夫
編集：小川王子
音楽プロデューサー：和田亨
音楽：林祐介

評価・背景

『9/10 ジュウブンノキュウ』は、そのユニークな設定とシチュエーションミステリーとしての完成度が評価され、国内外の映画祭で上映された実績を持つ。特に、韓国で開催された富川国際ファンタスティック映画祭や、ブラジルで開催されたインディフェスティバルでは招待作品として上映され、国際的な注目も集めた。限られた空間と少人数の登場人物で展開される物語は、演じる俳優陣の演技力と脚本の構成力が問われる形式であり、本作はこれらの要素によって、観客を飽きさせない緊張感を持続させることに成功している。記憶という曖昧で不確かなものをテーマに据え、人間の心理の奥深くに迫るサスペンスフルな作品として位置づけられる。

外部リンク

* moviewalker.jp 作品ページ

（脚注は省略）

もう一度検索