A-train (衛星コンステレーション)

A-Train（エー・トレイン）

A-Train（Afternoon Train、和訳：午後の星座）は、アメリカ、フランス、日本が共同で運用する人工衛星の集まりで、地球観測を目的としています。これらの衛星は太陽同期軌道を周回しており、午後の13時30分頃に赤道を通過するように設定されています。このため、A-Trainは午後の観測を行う星座という意味を込めた名称が付けられています。その特徴により、地球の大気や地表を高精度で観測することが可能になっています。

1. 概要

A-Trainは、大型衛星の代わりに多数の小型衛星を同じ軌道に配置することで、地球の観測データを収集しています。合計で複数の衛星が数分間隔で同軌道を回ることで、豊富なデータを収集し、高精度な三次元画像の生成を実現しています。これにより、気象学や環境科学などの多様な分野での研究に寄与しています。

2. 現在運用中の人工衛星

A-Trainには、現在運用中の衛星が3機存在します。

• - OCO-2（Orbiting Carbon Observatory 2）: 編隊の先頭に位置し、2014年に打ち上げられました。元々は2009年に打ち上げが試みられましたが、失敗が起きたため再製作されました。OCO-2は、地球の二酸化炭素の分布状況を観測する重要な役割を担っています。

• - GCOM-W1（Global Change Observation Mission - Water 1）: 日本のJAXAが運用する「しずく」として知られるこの衛星は、2012年に打ち上げられました。水循環の変動を監視し、気候変動の理解に貢献しています。

• - Aura（オーラ）: 編隊の最後尾に位置し、2004年に打ち上げられました。A-trainの一部として、地球の大気質の観測に関与しています。ただし、2023年末にはA-Trainからの離脱が予定されています。

3. 離脱した人工衛星

A-Trainに過去に含まれていたいくつかの衛星も、すでに運用を終了または軌道を離れています。

• - Aqua（アクア）: 2002年に打ち上げられましたが、2022年にA-Trainを離脱しました。水循環に関する貴重なデータを提供していました。

• - CALIPSO（Cloud-Aerosol Lidar and Infrared Pathfinder Satellite Observations）: 2006年に打ち上げられ、2018年にA-Trainから離脱し、低軌道へ移動しました。大気中の雲やエアロゾルの観測を行っていました。

• - CloudSat（クラウドサット）: こちらも2006年に打ち上げられ、CALIPSOと同時に宇宙に送り出されましたが、2018年にA-Trainを離脱しています。

• - PARASOL: 2004年に打ち上げられたこの衛星は、2009年に別の軌道に移されています。2013年には運用を終了しました。

4. 打ち上げの失敗

A-Trainプロジェクトには、残念ながら打ち上げ失敗もありました。

• - OCO: 2009年に打ち上げられたが、フェアリング分離に失敗し、海に墜落しました。本来はAquaの前方を飛行する計画でした。

• - Glory: 2011年の打ち上げも同様に失敗し、OCO同様に海に墜落しました。CALIPSOとAuraの間を飛行する予定でした。

このようにA-Trainは、国際的な協力により地球観測の新たな可能性を開いている重要なプロジェクトです。今後の研究活動においても、A-Trainから得られるデータは大きな価値が期待されています。

もう一度検索