A1グランプリ

A1グランプリについて

A1グランプリ（A1GP）は、2005年から2010年の間に開催された国別対抗のモータースポーツシリーズです。この大会は「モータースポーツにおけるワールドカップ」として位置づけられ、開催の時期は日本の秋から春にかけて行われていました。

背景

A1GPは2004年にドバイの皇太子ハムダン・ビン＝ムハンマド・アール＝マクトゥームによって提唱されました。大会の運営はアール＝マクトゥームを会長とする団体によって行われ、中東や欧米、東南アジア、アフリカなど、さまざまな国や地域で開催されました。最初のシーズンからインターネットでの無料配信が実施され、モータースポーツに馴染みのない国々にも新たなファン層を広げることに成功しました。

2006年にはA1GPの株式がRAB・キャピタル社に売却され、ピーター・ダ・シルヴァがCEOに就任しました。放送面でも、2008-2009年シーズンからは150以上の国でハイビジョン放送され、日本ではJ sports ESPNにてハイライトが放送されました。

競技形式

A1GPの競技は、ルーキーセッション、フリー走行、予選、決勝の4つのセクションに分けられます。ルーキーセッションは未経験のドライバーのみが参加でき、フリー走行は公式練習として行われます。予選は4つのセッションから構成され、スプリントレースとフィーチャーレースのスターティンググリッドを決定します。

決勝はスプリントレースとフィーチャーレースの2回行われ、ポイントが付与されます。スプリントレースはスタート順位に基づき、最大24分間の短距離レースを行います。フィーチャーレースは最大69分間の長距離レースで、ピットイン回数のルールも充実しています。

チーム構成

A1GPには各国の代表チームが参加し、最大10人のドライバーで編成されています。ドライバーは国際B級ライセンスを保有し、その国籍を持つ者であれば誰でも参加可能です。各国の有力レーシングチームがエンジニアやメカニックとして参加する一方、サポート役として他国のチームがエンジニアリングを担当することもあります。

マシン

A1GPでは初年度から特定のマシンを使用するワンメイク体制が取られました。2005-2008年はローラ製シャーシにザイテック社製のV8エンジンを搭載し、武装は全てドライバーの技術に基づいて競われました。2008-2009年シーズンからはフェラーリがエンジンを提供し、改良されたシャーシとともにより強力な競技が展開されるようになりました。燃料には環境配慮からバイオ燃料が使用され、二酸化炭素の排出量削減に貢献しました。

課題と終焉

開催当初は盛り上がりを見せたA1GPでしたが、スター選手の不在や競合シリーズの登場など、さまざまな課題に直面しました。特に2009-2010シーズンでは、開催予定のレースがキャンセルとなり、経営難から事実上シリーズが終了へと至りました。

A1グランプリはモータースポーツ界に一時的に新たな風を吹き込んだものの、多くの競争や変動があるスポーツ業界において難しい舵取りが必要なことを示す例となりました。

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