ACアジャクシオ

ACアジャクシオ：コルシカの誇りを胸に戦う古豪サッカークラブ

ACアジャクシオ（Athletic Club Ajaccio）は、フランスの美しいコルシカ島、その中心都市アジャクシオに本拠地を置くサッカークラブです。1910年に創設されたこのクラブは、島で最初の主要クラブとして、その歴史をスタートさせました。現在はリーグ・ドゥに所属し、再びトップリーグへの返り咲きを目指して日々奮闘しています。

クラブの歴史：激動の時代を乗り越えて

クラブの創設は1910年。同年4月には、同じ島のクラブであるSCバスティアと初の試合を行いました。当時、フランスサッカー連盟はまだ存在していなかったため、この試合は非公式戦扱いとなりましたが、2,000人から3,000人もの観客が集まり、友好的な雰囲気の中で行われたと伝えられています。また、USCコルテとの試合は盛大なパーティーとして開催され、地元出身の政治家であるフランソワ＝グザヴィエ・オルトリは当時の様子を回顧しています。

1919年からは、クラブのエンブレムにクマが登場するようになりました。このクマは、第一次世界大戦後のアジャクシオとイギリス海軍との親善試合に由来します。大戦中、アジャクシオの選手たちは戦場に赴き、多くが命を落としました。生き残った選手の一人であるLouis Paoliniは、片目を失いながらもチームの再建に尽力。終戦後、アジャクシオ港にイギリス海軍の軍艦が寄港し、乗組員から親善試合の提案を受けたアジャクシオは、Paoliniを中心にチームを編成し試合に臨みました。

試合は1-3で敗れましたが、唯一のゴールを決めたMartin Barettiという選手が、その体格から「クマ（L'Ours）」の愛称で呼ばれ、観客から熱烈な声援を受けました。戦後の困難な状況の中での彼の活躍は人々の心に深く刻まれ、数週間後にはユニフォームにクマが描かれるほど、クラブのシンボルとして定着しました。

クラブ名のアジャクシオは、本拠地の都市名に由来しますが、この都市名はギリシャ神話の英雄アイアスにちなんで名付けられました。これは、オランダの名門クラブ、アヤックス・アムステルダムと同じ起源を持ちます。1965年にプロチームとなり、コルシカ島の3大クラブの一角として、SCバスティア、ガゼレク・アジャクシオと激しいライバル関係を築いています。

近年の歩み：昇格と降格の繰り返し

1967年、ACアジャクシオはコルシカのクラブとして初めてディビジョン1（現在のリーグ・アン）に参戦しました。しかし、リーグ・アンではなかなか結果を残せず、中位または下部リーグであるリーグ・ドゥとの間を行き来するシーズンが続いています。2010-11シーズンにはリーグ・ドゥで2位となり、5年ぶりにリーグ・アンに復帰しましたが、2013-14シーズンには再びリーグ・ドゥへ降格。

2021-22シーズンには再びリーグ・ドゥで2位となり、再びリーグ・アンへの昇格を果たしましたが、2022-23シーズンは苦戦を強いられ、1年で降格となってしまいました。

2024年の夏には、7年間ディフェンスリーダーを務めたセドリック・アヴィネルと、10年間チームを率いたオリヴィエ・パンタローニ監督が退任。さらに、クラブの財政問題により一時的に3部リーグへの降格が決定しましたが、その後の予算審問の結果、この決定は撤回され、再びリーグ・ドゥで戦うこととなりました。

タイトルと記録：歴史に名を刻む

ACアジャクシオは、これまでに以下のタイトルを獲得しています。

* リーグ・ドゥ（ディヴィジオン・ドゥ）：2回 (1966-67, 2001-02)

国際タイトルはまだありませんが、国内リーグでの活躍を通じて、その名をフランスサッカー界に刻んでいます。

現在のチーム：新たな挑戦へ

マチュー・シャベール監督の下、新たなシーズンに挑むACアジャクシオ。過去の栄光を胸に、再びリーグ・アンの舞台へ返り咲くことができるのか、今後の戦いに注目が集まります。

ACアジャクシオは、コルシカのサッカー文化を象徴する存在として、これからも多くの人々に愛され、その歴史を紡いでいくことでしょう。

もう一度検索