ADVANCED WORLD WAR 〜千年帝国の興亡〜

『ADVANCED WORLD WAR ～千年帝国の興亡～』

1997年3月20日にセガからセガサターン用ソフトとして発売された本作は、第二次世界大戦の欧州戦線を舞台に、プレイヤーがナチス・ドイツ軍を率いるウォーシミュレーションゲームです。「アドバンスドワールドウォー」あるいは「AWW」と略称されることもあります。メガドライブで人気を博した『アドバンスド大戦略』や、その派生作品である『ワールドアドバンスド大戦略 ～鋼鉄の戦風～』とは異なり、システム面に独自の要素を多く取り入れています。

ゲームシステムの特徴

本作を特徴づけるシステムとして、まず「デュアルマップ」が挙げられます。戦場は地上のマップと空のマップという二層構造になっており、陸上および海上ユニットは地上のマップを移動し、航空ユニットは空のマップを移動します。航空ユニットは、地上の空港や空母に着陸して地上マップに干渉できます。空のマップの1マスは地上の4マス分に相当し、地上ユニットの上空に航空ユニットがいる場合は、そのユニットに支援効果を与え戦闘を有利に進めることが可能です。

次に重要なのが「将軍システム」です。プレイヤーは陸軍将軍としてゲームを開始し、士官学校で出会う空軍将軍のパートナーと共に戦線を指揮します。敵を攻撃・撃破することで経験値を獲得し、将軍はレベルアップして能力が向上します。また、特定の条件を満たすことで特殊スキルを習得することもできます。各将軍は自身を含めて最大9個のユニットを配下に持つことが可能です。陸軍将軍は自身に隣接する配下の陸上ユニットのユニット数を回復させ、FPWを補充する能力を持ちます。将軍自身は、自軍勢力下の都市に留まることでユニット数を回復できます。空軍将軍や海軍将軍は扱いがやや異なり、自軍の空港や港に格納されている時のみ、同じ場所に格納されている配下ユニットのFPWやユニット数を回復できます。マップによっては、ロンメルやマンシュタインといった実在の著名な指揮官を操作する機会もあります。

ユニットの活動能力を示す「FPW（フォースパワー）」は、気力、体力、燃料といった要素を統合した概念です。戦闘を行うことで消費され、航空ユニットは移動でも消費します。FPWが0になると戦闘行動はできなくなりますが、ユニットが完全に機能停止することはありません（航空ユニットが燃料切れで墜落したり、地上ユニットが移動不能になることはありません）。地上ユニットは所属する将軍ユニットに隣接した状態でターンを開始するとFPWが全回復します。その他、休息コマンドの使用や都市滞在でも回復可能です。航空ユニットは空港に格納することで回復します。

「VP（バリューポイント）」は軍事予算のようなものです。作戦開始前の兵器開発やユニットの生産、改造に消費されます。作戦中に各将軍が持つ「SUP（補給物資）」は、兵器の補充を行う際に消費され、これが尽きると補充ができなくなります。SUPは、自軍勢力下のVP獲得可能な拠点や都市に将軍が留まることで補充されます。

ゲームの進行は「ターン」と「天候」の概念によって影響を受けます。一日は朝・昼・夕方・夜・深夜の5つのターンに分かれており、これに晴れ・曇り・雨・雪といった天候が加わります。夜間や深夜、そして雨や雪の天候下では、陸上部隊の視界や移動、戦闘に制約が生じます。航空機ユニットは、晴れの夜間に爆撃機による焼夷弾攻撃が可能な場合を除き、基本的に対地攻撃ができず、空対空戦闘のみとなります。また、降雨や降雪が続くと累積度が増し、陸上部隊の移動効率が低下します。

特徴的なルールとして、本作では「作戦中の兵器生産は不可」となっています。『ワールドアドバンスド大戦略 ～鋼鉄の戦風～』などでは作戦中に新たな兵器を生産できましたが、本作では作戦中は既存ユニットのユニット数補充のみが可能であり、敵味方ともに新規ユニットの生産はできません。

ゲームモード

ゲームのメインとなるのは「キャンペーンモード」です。士官学校での訓練と卒業試験を経て、第二次世界大戦の緒戦であるポーランド侵攻（白作戦）から始まり、分岐する連続したマップを戦い抜きます。マップによっては増援部隊が参戦することもあります。各マップには制限ターン数が設定されており、そのターン数内に勝利すれば戦略的勝利、それを過ぎて勝利すれば戦術的勝利となります。制限ターン内に勝利できなかった場合は戦術的敗北となり、自軍が全滅したり自軍の拠点を全て失ったりした場合は戦略的敗北となりゲームオーバーです。各マップ終了時には隠しパラメータであるGPを獲得し、その累計値やプレイヤーの選択によってシナリオが分岐していきます。最終的には、史実通りのドイツ敗戦を含む複数のエンディングの中からいずれかを迎えることになります。マップによっては、獲得GPに応じてポルシェティーガーやHo229といった特殊な兵器が勝利兵器としてプレゼントされ、自軍に配備されることもあります。また、敵将軍や兵器の撃破、拠点の占領といった戦果に応じてVPが得られ、これを使用して新兵器の開発や、既存ユニットの生産・改造による性能向上（例：ティーガーIからティーガーIIへの進化）が可能です。不要になった配下ユニットは売却してVPに換えることもできます。戦略的勝利を収めるための制限ターン数は概して厳しく設定されており、プレイヤーは常に迅速な進軍を求められます。

「スタンダードモード」では、キャンペーンモードで使用されたマップを用いて、最大4人のプレイヤーで対戦を楽しむことができます。

その他

より多くのプレイヤーに手に取ってもらうため、1998年2月11日には廉価版であるサタコレ版が2800円で発売されています。

本作は、『アドバンスド大戦略』シリーズの系譜に連なりつつも、独自のシステムと第二次世界大戦のIF展開を描くキャンペーンモードによって、戦略シミュレーションファンにとって遊び応えのある一作となっています。

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