AGM-53 (ミサイル)

AGM-53 コンドルミサイルの概要

AGM-53は、アメリカ海軍向けにノースアメリカン社が開発していた空対地ミサイルで、愛称は「コンドル」です。このミサイルは、当初はASM-N-11という名称で開発が始まり、1962年からその設計が進められました。しかし、開発は多くの困難を伴い、最終的には1976年にそのプロジェクトが中止されることとなります。

開発の背景

AGM-53は専用の画像誘導システムを搭載した長距離ミサイルとして設計されました。特徴的な点として、誘導のために発射母機からテレビ画像をアップロードし、この映像を基に最終的なターゲットの追尾を行う方式が採用されていました。この方法により、ミサイルは高い精度で目標に命中することが期待されていました。

技術的な仕様

このミサイルは、950kgという相当な重量を持ち、弾頭には通常の炸薬量286kgのものが用意されているほか、W73核弾頭を搭載する計画もありました。そのため、AGM-53は重厚な設計となっており、その形状には特異な特徴があります。具体的には、胴体の中部に細長いデルタ翼が4枚、後部には安定翼が4枚配置されており、これらがミサイルの安定した飛行を支えています。

開発の進捗と中止

開発の初期段階では、大きな期待が寄せられていましたが、実際にはいくつもの技術的な課題に直面しました。たとえば、試作段階であるXAGM-53Aの試射は予定よりも大幅に遅れ、1970年まで行われませんでした。これに伴い、開発コストも増加し、プロジェクトは次第に困難を極めていきました。

最終的には、1976年3月に配備が始まる前に開発が中止されることが決まりました。この決断は、技術的な成功だけでなく、運用コストとのバランスなど、さまざまな要因を考慮した結果でした。AGM-53は、その後も開発が進むことはなく、採用されることはありませんでした。

結論

AGM-53、すなわちコンドルミサイルは、空対地戦闘における新たな可能性を秘めていたと同時に、様々な課題をも抱えたプロジェクトでした。その導入は実現しなかったものの、当時の軍事技術の進展や課題を反映した重要な開発の一環として、今なお注目されています。

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