ALTER (SQL)

SQLにおけるALTER文の詳細解説

SQLの`ALTER`文は、データベース管理システム(RDBMS)において、既に定義済みのデータベースオブジェクトの構造を変更するために使用されるデータ定義言語(DDL)の命令です。この命令を用いることで、テーブル、ビュー、インデックスなどのオブジェクトの特性を柔軟に変更できます。

ALTER文の基本構文

`ALTER`文の基本的な構文は以下の通りです。

sql
ALTER [オブジェクトの種類] [オブジェクト名] [パラメタ];


ここで、`[オブジェクトの種類]`は変更したいオブジェクトのタイプ（例：`TABLE`、`VIEW`）、`[オブジェクト名]`はそのオブジェクトの名前、`[パラメタ]`は具体的な変更内容を指定します。

ALTER文で変更可能なオブジェクトの種類

`ALTER`文で変更できるオブジェクトの種類は、使用しているRDBMSの種類やバージョンによって異なります。一般的に`ALTER`文で変更できるオブジェクトの例を以下に示します。

テーブル (`TABLE`): 列の追加、削除、変更、制約の追加、削除、テーブル名の変更など
ビュー (`VIEW`): ビューの定義変更
インデックス (`INDEX`): インデックスの追加、削除、名前変更
シーケンス (`SEQUENCE`): シーケンスの開始値、増分値などの変更

テーブルの変更例

`ALTER`文を用いたテーブルの変更例として、既存の「従業員」テーブルに「生年月日」列を追加する例を以下に示します。

列の追加

sql
ALTER TABLE 従業員 ADD 生年月日 DATE;


このSQL文は、従業員テーブルに生年月日という名前のDATE型の列を追加します。

列の削除

さらに、必要なくなった「生年月日」列を削除する場合、次のようになります。

sql
ALTER TABLE 従業員 DROP COLUMN 生年月日;


このSQL文は、従業員テーブルから生年月日という名前の列を削除します。

列のデータ型の変更

既存の列のデータ型を変更する場合も`ALTER`文を使用します。

sql
ALTER TABLE 従業員 ALTER COLUMN 生年月日 DATETIME;


このSQL文は、従業員テーブルの生年月日列のデータ型をDATE型からDATETIME型に変更します。

制約の追加

テーブルに制約を追加することも可能です。例えば、`NOT NULL`制約を追加する場合は、以下のようになります。

sql
ALTER TABLE 従業員 ALTER COLUMN 生年月日 DATE NOT NULL;


このSQL文は、従業員テーブルの生年月日列にNULL値を許可しない制約を追加します。

注意点

`ALTER`文は、テーブルなどのオブジェクトの構造を直接変更するため、実行する際は慎重に行う必要があります。特に、既存のデータを破損させる可能性のある変更（例：データ型の変更や列の削除）は、事前にバックアップを取るなどの対策を講じることが推奨されます。

また、RDBMSの種類やバージョンによって、`ALTER`文で利用できるオプションや構文が異なる場合があります。そのため、使用しているRDBMSのドキュメントを必ず確認する必要があります。

まとめ

`ALTER`文は、データベースオブジェクトの構造を柔軟に変更できる強力な命令ですが、その取り扱いには十分な注意が必要です。`ALTER`文を適切に使用することで、データベースを効率的に運用・管理することができます。

参考文献
* C.J.Date、Hugh Darwen、QUIP LLC (訳)、『標準SQLガイド 改訂第4版』、アスキー、1999年、ISBN 4-7561-2047-4

もう一度検索